1. 深海地球ドリリング計画評価委員会の設置
1.1 深海地球ドリリング計画の経緯
海洋科学技術センター(以下「センター」という)が提案する深海地球ドリリング計画は、以下の3要素から構成されるものである。
・現行国際深海掘削計画(ODP)で用いられている従来型掘削船の技術的限界を越える能力を持つ、地球深部探査船(ライザー掘削船)及び関連技術を開発する。
・2003年9月末に終了する国際深海掘削計画(ODP)の後継計画として、日本の地球深部探査船と米国の従来型掘削船(ODP後継船)が相互補完する、二船体制による統合国際深海掘削計画(IODP)を推進する。
・両船によって得られたコア試料及び掘削孔を用いた地球科学及び生命科学の研究を総合的に推進する。
本計画は、以下の経緯を有し、現在、地球深部探査船の開発に着手できる段階に至っている。
1990年4月 :センターにおいて「海底地層サンプリングシステムの研究」に着手
1990年5月 :海洋開発審議会第3号答申及び科学技術会議第17号答申において、新しい深海掘削船の開発を含む深海掘削計画を強化すべき旨を答申
1991年5月 :科学技術庁海洋開発推進懇談会・深海掘削研究会で事前評価を実施
1992年4月 :センターにおいて「深海掘削船システム要素技術の開発研究」を開始
1993年12月 :海洋開発審議会第4号答申において、将来の深海掘削研究の国際協力に対して、深海掘削船の開発を含めて貢献していくべき旨を答申
1994年6月 :科学技術庁海洋科学技術研究会・深海掘削研究会で中間評価を実施
1995年4月 :センターにおいて「深海掘削船システム全体システムの研究」を開始
1996年10月 :「ライザー技術国際ワークショップ」で技術的評価を実施
1997年6月 :科学技術庁深海掘削懇談会での包括的な評価を実施
1997年7月 :「ライザー掘削国際会議」で科学的評価を実施
1997年度末 :「深海掘削船システム全体システムの研究」が終了
1.2 大綱的指針による評価
平成9年8月7日に内閣総理大臣決定された「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」(以下「大綱的指針」という)によると、多額の財政支出を伴う特に大規模かつ重要なプロジェクトについては、評価の客観性・公正さをより高めるため、研究開発を実施する主体から独立したかたちで、外部専門家及びその他の有識者によって構成された組織による評価を実施することが必要とされている。
本計画は、上述のとおり1990年以来各種の評価を経てきたが、必ずしも大綱的指針の条件のすべてを満たしてはいない。このため、本計画が地球深部探査船の開発着手という大きな節目にさしかかっていることから、改めて大綱的指針に従って評価を行うこととし、航空・電子等技術審議会(科学技術庁長官の諮問機関、以下「航電審」という)の地球科学技術部会の下に「深海地球ドリリング計画評価委員会」が設けられた。