4. 深海地球ドリリング計画評価報告書
要 約
1. 海洋科学技術センターが提案する深海地球ドリリング計画の評価を行うため、「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」に基づき、航空・電子等技術審議会地球科学技術部会に「深海地球ドリリング計画評価委員会」が設けられた。
2. 本委員会は、提案者から独立した外部の専門家及び専門以外の分野の有識者で構成し、本委員会の要請により各専門分野の国内外のレビュアーに依頼した書面による意見、及び、委員会に招致した専門家の意見を参考のうえ、評価結果を取りまとめた。
3. 本計画について、以下の点について評価委員会としての結論を得た。
(1)科学技術上の意義
本計画は、国際協力の下で深海底掘削により、現在及び過去の地球と生命に関する研究を進めるもので、広範囲な科学分野に大幅な前進をもたらすことは確実と考えられ、未踏の領域において画期的発見が行われる可能性も持っている。また、地球深部探査船を日本が建造するに当たり、計画提案者が取り組んできた要素技術開発等の成果の活用、外国技術の導入など世界の英知(技術)を集めることにより、自前の技術体系を構築することには大きな意義がある。
(2)技術的妥当性及び開発の進め方
本計画は技術的に見て極めてチャレンジングな課題であるが、総合的に見て実現可能と判断される。また、水深2,500m級掘削において科学的成果を得つつ運用技術を取得し、その運用データを得て水深4,000m級での運用を目指すステップ・バイ・ステップの取り組み方は妥当である。
(3)社会的・経済的意義及び緊急性
本計画は、第一義的には人類共通の資産である科学に貢献する意義が大きいが、その成果は、気候変化のメカニズムの解明や、プレート境界面での巨大地震の発生メカニズムの解明などを通じて、社会が直面する課題の解決にも貢献すると期待される。この観点から本計画は緊急に取り組むべきものである。
(4)運用体制
本計画が過去長期にわたり成果をあげてきた国際深海掘削計画(ODP)を引き継ぐ統合国際深海掘削計画(IODP)の一環として行われることは、評価の高いODPの国際協力の形態を継承することから、適切かつ有効である。また、その中で日本が地球深部探査船の建造を分担することは、掘削の成果から日本が受ける科学上の便益が大きいこと等から、妥当なものである。