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5-3. 作業姿勢分析の結果

 次に無理な作業姿勢により、作業者が足腰をひねったり、腰痛になると考えられる。そこで、かけまわし漁法125トン型の揚網作業と、上甲板で漁獲物を選別するかけまわし漁法125トン型と、船楼甲板で選別作業をするかけまわし漁法80トン型を対象に1秒毎に作業姿勢を分析した。
 図5-18は吊り上げたコッド部から漁獲物を取り出し、網を畳む作業を主にしていた作業の4349秒(約72分)のデータについて解析を行い、図5-19はカーゴウインチを主に操作していた作業の3316秒(約55分)のデータについて解析を行った。
 図5-20は上甲板で漁獲物を選別するかけまわし漁法125トン型は1749秒(約29分)のデータについて分析を行った。図5-21は船楼甲板で選別作業をするかけまわし漁法80トン型(約33分)を対象に行い、さらに、漁種別(イカ(図5-22)、タラ(図5-23))、作業別(選別(図5-24)、箱詰め(図5-25))に作業姿勢を分析した。
 作業姿勢の分類を、「5-1.動作姿勢」よりさらに詳細に行い、1.「立位」、2.「前傾(30°未満)」、3.「前傾(30〜60°)」、4.「前傾(60〜90°)」、5.「前屈」、6.「(前傾しながら)運び(30°未満)」、7.「(前傾しながら)運び(30〜6ぴ)」、8.「(前傾しながら)運び(60〜90°)」、9.「(立位での)運び・移動」、10.「しゃがみ」、11.「背伸び」、12.「移動(空手移動)」、13.「運び(カート移動)」、14.「リスク姿勢(網の上を歩く、漁獲物の上を歩く)」とした。


図5-18 かけまわし125トン型 作業姿勢の時間割合(網を畳む作業)


 図5-18よりコッド部から漁獲物を取り出し網を畳む作業は、「立位」が22.6%と最も多く、つぎに「(前傾しながら)運び(30°未満)」が12.7%となっていた。「前傾」しながらの運びの合計が20.3%、「前屈」が9.9%となっており、特に網を運ぶ作業で前傾しながらの運びが多く見られた。網の上を歩くなどの「リスク」姿勢は2.0%となっていた。


図5-19 かけまわし125トン型 作業姿勢の時間割合


 図5-19よりカーゴウインチを主に操作していた作業は、「立位」が22.6%と最も多く、つぎに「前傾(30〜60°)」15.6%、「前傾(60〜90°)」12.6%となっていた。「前傾」と「前屈」の合計が43.1%となっていた。カーゴウインチにワイヤーを巻き付ける作業で「前傾」、「前屈」の姿勢が見られた。また網の上を歩くなどの「リスク姿勢」は6.9%となっており、コッド部から漁獲物を取り出し網を畳む作業を主にしていた作業者と比べると中央部分と左舷側により多くみられた。

 

 

 

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