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ロ. 縦方向の長さ(技術基準17-四)
 貨物艙の縦方向の長さは、次の表の値(メートル)又は10メートルのうち、いずれか大きいもの以下でなければならない。

 

(注) Lは、船の長さ(メートル)
  biは、満載喫水線の位置において船側外板から測った各区分に掲げる貨物艙までの距離(メートル)
  Bは、船の幅(メートル)

ハ. 貨物船の配置基準(技術基準17-五、六、七)
 衝突及び座礁により船体が損傷した際における大量の油の流出事故を未然に防止するために、船体の外板から基準に定める防護距離をもって貨物艙を配置し、これにより出来た外板と貨物艙とのクリアランスに貨物油及び燃料油を積載しない区画を配置するものとする。
 (イ) 600DWT以上、5,000DWT未満のタンカー

船側外板からの防護距離:W(メートル)
   w≧0.4+2.4×DW/20,000または0.76メートルのいずれか大きい方
  DWは、タンカーの載貨重量トン数
  ただし、個々の貨物艙の容量が全て700m3未満の場合は船側からの防護距離を持たなくても良い。
  船底外板からの防護距離:h(メートル)
  h≧B/15または0.76メートルのいずれか大きい方
  Bは、船の幅(メートル)

 (ロ) 5,000DWT以上のタンカー

・ダブルハルタンカー
 船側外板からの防護距離:W(メートル)
 w≧0.5+DW/20,000(2メートルを超える場合にあっては2メートルとする。)または1メートルのいずれか大きい方
  DWは、載貨重量トン
 船底外板からの防護距離:h(メートル)
 h≧B/15(2メートルを超える場合にあっては2メートルとする。)または1メートルのいずれか大きい方
  Bは、船の幅(メートル)
 ビルジ部分の取扱い
 型基線から1.5hを超える部分にあってはw、超えない部分にあってはhの値による。ビルジ部分が1.5hを超えない場合にあっては、ビルジ部分までをhの値として、それより上部の船側部分についてはWの値とする。
 ・ミッドデッキタンカー
  船側外板からの防護距離:W(メートル)
  w≧0.5+DW/20,000(2メートルを超える場合にあっては2メートルとする。)または1メートルのいずれか大きい方
   DWは、載貨重量トン数
 中間デッキの高さ:hd(メートル)
  (B/6または6メートルのうち大きい方)≦hd≦0.6D
 Bは、船の幅(メートル)
 Dは、船の型深さ(メートル)
下部貨物艙における貨物の液面高さ:hc(メートル)
 hc≦(dn`ρs・9-△P)/(1,1・ρc・g)
 dnは、想定される貨物積載状態における最小喫水(メートル)ρSは、海水の密度(キログラム/立方メートル)
 gは、重力加速度(9.81メートル/s2)
 △Pは、貨物艙に設ける自動呼吸弁の最大設定圧力(パスカル)
ρCは、貨物油の最大密度(キログラム/立方メートル)
 ビルジ部分の取扱い
  型基線から1.5hを超える部分にあってはw、超えない部分については貨物艙を垂直に配置して差し支えない。

二.ウェルの基準(技術基準17-八)
 載貨重量トン数5,000トン以上のタンカーの貨物艙に設けるウェルは、できる限り小さくし、かつ、船底外板からウェル船底まで0.5hの距離を確保すること。
ホ.配管(技術基準17-九、十、十一)

 (イ) イ.及びロ.において、貨物艙の大きさ、配置等を制限して、損傷時の大量の油の流出を防止することとしているが、配管の損傷により損傷を受けなかった貨物艙の油が流出する恐れもある。そこで、これを防止するため、イ.(イ)で想定する損傷の範囲又は二重底内を通る配管であって貨物艙に開口を有するものについては、当該貨物艙の隔壁又は二重底内に弁その他の閉鎖装置を備えなければならず、かつ、二重底内を通る配管はできる限り船底外板から離さなければならない。
 (ロ) 載貨重量トン数5,000トン以上のタンカーにあっては、貨物艙に開口を有する配管は二重船殻部に配置している分離バラストタンク内に通してはならず、かつ、二重船殻部に配置しているバラストタンクに開口を有する配管は貨物艙内に通してはならない。ただし、非常に短い配管であって完全に溶接されているか又は同等と認められる場合にあっては、相互貫通して差し支えない。

(2)分離バラストタンクの配置基準(技術基準20)
 貨物艙の分離バラストタンク等において保護し、貨物艙が損傷を受ける確率を少なくするために、技術基準省令第14条の規定により分離バラストタンクを配置するタンカーは、貨物艙区域の縦方向の長さの範囲において、前(1)ハ.の基準により配置された貨物艙を覆うようにできる限り均等に分離バラストタンクを配置しなければならない。ただし、縦強度及びトリム等を考慮して必要となる分離バラストタンクは、船首尾タンク及びその他の区画にも配置することができる。

(3) 現存船に関する経過規定
イ. 平成5年現存タンカーであって、載貨重量トン数20,000トン未満の原油タンカー及び載貨重量トン数30,000トン未満の精製油運搬船であるものの基準の適用については、(1)ハ.二.ホ.(ロ)及び(2)の基準にかかわらず平成5年改正前の基準によるものとする。

ロ. 平成5年現存タンカーに関する経過規定の適用は、平成7年7月6日から行う。

ハ .平成5年現存タンカーであって、ダブルハル構造又はミッドデッキ構造を有するもののうち、平成7年7月6日において次の基準を満足するものについては(1)ハ.二.ホ.(ロ)及び(2)の基準に適合しているものとみなす。
 (イ) 船側外板からの防護距離:WメートルO.76≦w
 (ロ) 船底外板からの防護距離:hメートル(ダブルハル構造に限る)0.76≦h≦B/15
 (ハ) 区画の配置
  外板と貨物艙との間にできたクリアランスには貨物油及び燃料油を積載しない区画を配置すること。

二. 平成5年現存タンカーであって、EE、EN船であるものの基準の適用については、原則として本船引き渡しの日から起算して25年以内に基準に適合させること。ただし、平成5年改正前の技術基準省令第20条に定める基準を満足する分離バラストタンクが、貨物艙区域において、両舷の30パーセントを防護している場合又は船底の型面積の30パーセントを防護しているものにあっては、30年以内に基準に適合させることとする。

ホ. 平成5年現存タンカーであって、NN船であるものの基準の適用については、本船引き渡しの日から起算して30年以内に基準に適合させること。


 

 

 

 

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