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各設備ごとの具体的な装置及び機器をまとめると、次の図のようになる。
更に詳細な規定は、「海洋汚染防止設備等及び油濁防止緊急措置手引書に関する技術上の基準を定める省令」を参照することとされたいが、その内容は原則としてMARPOL73/78条約を骨子とし、IMO海洋環境保護委員会にて先取り実施が関係各国の間で合意され、回章(MEPC/Circ.97及び99)として作成された「改正」及び「統一解釈」並びにその他のIMOでの関連決議事項を取り入れたものとなっている。


(3) タンカーの貨物艙及び分離バラストタンクの設置方法(法5の2)
 第5条においては、通常の航行において生じるビルジ等又は貨物油を含む水バラスト等を貯蔵又は処理するための設備について規定したが、この条では、タンカーが衝突、乗揚げその他の事由により船舶に損傷が発生した場合に、大量の油が流出されることを防止するため、タンカーの貨物艙及び分離バラストタンクの設置方法を規制することを目的としている。
 その具体的な基準は、「海洋汚染防止設備等及び油濁防止緊急措置手引書に関する技術上の基準を定める省令」に規定されているが、概略は次のとおりである。
 なお、一定の基準を満足する58年現存タンカーについては(1)イ.ロ.ホ.(イ)の適用、平成5年現存タンカーについては、(1)ハ.二.ホ,(ロ)及び(2)の適用はない。

 (注) 「58年現存タンカー」     :  EEタンカー及びENタンカーをいう。(33頁参照)
    「平成5年現存タンカー」  :  平成5年7月5日までに契約締結し、かつ、平成8年7月5日までに引き渡しを行うタンカーをいう。(43頁参照)

(1) 貨物艙の構造及び配置の基準(技術基準17)
 
イ.容量
 (イ) すべての貨物艙(技術基準17-一)
 衝突等による船側損傷及び乗揚げ、座礁等による船底損傷の範囲をそれぞれ想定し(タンカーの大きさにより異なる。技術基準19)、損傷した貨物艙から流出する油の量を計算し(二重底の有無等により計算方法が異なる。技術基準18)、その結果であるOc(船側損傷による仮想流出量)及びOs(船底損傷による仮想流出量)が、限界流出量(3万m3又は400DW1/3m3(4万m3を超える場合は、4万m3)のうち大きいもの)を超えてはならない。(DWは、載貨重量トン数)

 (ロ) 船側貨物艙(技術基準17-二)
 船側貨物艙(ウイングタンク及び船側内側外板に隣接する貨物艙)の容量は、(イ)の限界流出量の75%以下でなければならない。ただし、分離バラストタンクの配置を考慮すれば、限界流出量の100%以下とすることができる。
 (ハ)中央部貨物艙(技術基準17-三)
   中央部貨物艙(船側貨物艙以外の貨物艙)の容量は、5万m3以下でなければならない。
 

 

 

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