5.2.2 動揺計測装置
動揺計測装置の測定値は、水中部の計測データであるナローマルチビーム式音響測深機の計測値の補正用および、気中部の計測に用いるデジタルカメラの位置の算出に用いられるため、精度に大きく関わってくる装置である。
ナローマルチビーム式音響測深機の計測値を補正するためには、リアルタイムで、正確なピッチ、ヒーブ、ロール等の値を知る必要がある。
現状技術の調査からいくつかの候補があげることができるが、グレードによって計測精度および機器構成が大きく異なるため、調査ユニットに求められる精度を考慮して、最適な機種を選択することが必要である。
後の項で触れる陸上構造物三次元計測装置に用いるデジタルカメラの位置を出力するためにも動揺計測装置が用いられるが、デジタルカメラの座標を基に、三次元計測データを算出するため、このときのカメラ位置の誤差が、陸上部計測データ全体の誤差となってしまう。
このような理由から、精度の高い動揺計測装置を用いることが望ましい。
上の表に示したDMS-510とPOS/MVに関しては、精度で0.015の差があるが双方とも精度が高く、水深が浅い場合には、ソナービームの長さが短くなるため、精度への影響は少ないと考えられる。
しかしながら、POS/MVに関しては、GPSのデータを用いて慣性センサの値を補正する機能が組み込まれている。DMS-510にもGPSのデータを取り込むインターフェイスは用意されているが、補正機構は付加されていない。
また、POS/MVは現段階でD-GPSにしか対応していないが、来年1999年早々にもRTK-GPSに対応できる予定である。
よって、使い勝手と、精度、および今後の高性能化(GPSとの一体化)が望めることからGPS+光慣性ジャイロで構成されるPOS/MV型動揺計測装置相当の装置を用いるとともに、先に述べたRTK-GPS装置の統合も視野に入れることとする。