5.1.2 計測機能
これまで発生した地震災害等のあとの調査において、常に重要なデータとして岸壁の変位が計測されている。
港湾施設の被害としては、阪神・淡路大震災において、岸壁の崩壊や大きな陥没等が発生しており、これらの変位は数10cmから数mのオーダーであり、被災状況の調査としては10数cmの精度があればよい。しかし、その他に発生した釧路沖地震等における岸壁被害状況は、岸壁の変位がそのほとんどが2〜3cm、大きくても5〜7cmでという状態である。
従って、本調査ユニットの計測精度は少なくとも10cm以内、可能であれば5cm以内の精度を要する。
5.1.3 データ計測
調査ユニットで取り扱うデータの基本単位は、バース単位もしくは岸壁一辺単位とする。
調査ユニットを搭載した船舶は計測対象である岸壁が始まる手前に一時停止し、GPS、水温計等のキャリブレーションを行った後に3〜5knotの速度で岸壁に沿って航行する。
この際の岸壁からの距離は、超音波測深機の扇形に広がった両端ビームの測定距離が等しくなるよう、およそ水深と同程度の距離を取るものとし、10〜15m程度離れた場所を航行する。
また、計画的な計測が可能なように、あらかじめ国土地理院作成の電子地図データを取り込んでおき、システムの画面上に岸壁線を表示させ、計測開始前に、岸壁に沿った測線の設定を可能とする。
調査ユニットの操作を簡便にし、オペレーターの特別な操作を必要としないようにするため、計測が開始されると、システムにはGPS、動揺計測装置、ナローマルチビーム音響測深機、デジタルカメラの画像等のデータを自動的にストアする仕様とする。
一計測毎のデータ量が大きくなることが予想されるため、データ計測が終了した後に、これらのデータを2〜3の岸壁毎にまとめ、外部記憶装置へのデータ転送を可能なものとする。
5.1.4 データ処理
調査ユニットによって自動的に計測されたデータは、各計測機器から非同期に入力されており、データ収集装置(PC)により、タイムスタンプを付けて保存される。