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5. 港湾施設・水域調査ユニット構成機器の機能設計要領の確認

 

調査ユニット実用化に向けて、構成機器の現状技術と開発目標の検討結果に基づき、それぞれの構成機器に対して、その開発項目を含めた機能設計についての検討を行う。

 

5.1 調査ユニットの機能仕様

調査ユニットの機能として、非常時の機能と、それを生かした平常時の機能があるが、基本的な機能は、水中部・気中部を連続的に3次元計測する機能である。

ここでは、その機能についてより詳細な検討を行う。

 

5.1.1 調査ユニットの調査対象

地震等の災害があった場合に、調査ユニットはその被災状況を迅速に調査する機能を持ち、その調査対象としては、航路、泊地を含む水域と大型公共岸壁および物揚場、防波堤等があげられる。

実際に、阪神・淡路大震災の発生後に最初に行われた調査は、航路、泊地等の水域の安全性(障害物の有無)の調査であり、次に行われるのが、健全性の評価も含めた岸壁の調査である。

(「港湾施設・水域調査ユニット実用化の研究」平成9年度報告書 参照)

ここでは、神戸港を例にあげて、調査ユニットの調査対象について検討する。

上記のとおり被災後の調査範囲を「航路および泊地」、「大型公共岸壁」とし、防波堤の調査は被災後これらの調査が終わった後に行うものと考え、災害直後の調査対象としては捉えない。

阪神・淡路大震災の結果、東西20kmの神戸港の係留施設の大型公共岸壁239バースおよび23km以上の物揚場のほとんどが被災した。

(「よみがえる神戸港」運輸省第三港湾建設局震災復興建設部より)

ここで、その被災状況を岸壁長さとして捉えると、1バースの平均長さを300mとすれば、必要となる計測範囲は、

239(バース)×300m+23,000m=94,700m

となり、約100kmの領域の調査が必要となる。

ここで、一日の実際の計測時間を6時間(計測のための移動を含む)、初動時の計測期間を3日と仮定した場合に、計測範囲全体を移動するためには、

94,700m/3日/6時間=5.3km/hr.=約3knot

となり、少なくとも3knot以上の速度で航行することが必要となる。

また、ナローマルチビーム超音波測深機のフットプリントが1.5゜×1.5゜であるため、水深が15mであると仮定すると、およそ40cm×40cmの四角形となり、データ更新レートが(SEABATでは)およそ15回/sであるため、実際に3knotで航走した場合には航行方向の水平解像度は、おおよそ10cmであり、精度的には何ら問題ないと予想される。

 

 

 

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