カメラ同士の距離は、離れている方が被写体深度が得られ易く、奥行き方向の精度が増すが、あまりに離れた場合は、「右の写真で見えているのに左の写真では見えない」部分が多くなる事が考えられ、これによってデータを重ね合わせる際に「ミスマッチング」(データの座標が特定できず、座標値が飛び出してしまう現象)が発生する。
3) PCを用いた写真画像の処理手順
「計測名人」を用いた場合の、画像処理手順を以下に示す。
カメラ位置もしくは既知点、基準点が明らかな場合、一連の作業の所要時間は15〜30分程度である。
1] 写真(画像データ)の取込
2] 評定ポイント(目標点)を決定(5ポイント、基準点4点を含む)
3] 変位修正画像を作成(変換したい部分の枠を指定)
4] 面(点)を指定して計測処理 → 座標データ化
(2) 実験的な写真計測データ解析
今回IHIの東京第一工場の岸壁をスチルカメラにて撮影し、データ化を試みることによって、写真測量の適用について検討を行った。
あいにく船舶上からの撮影ができなかったため、岸壁からの撮影となり、データとして、2組のステレオ写真を撮影した。
撮影には一眼レフカメラを用い、三脚などの固定装置は用いていない。
写真1は、ちょうど岸壁に接岸していた台船上から撮影したもので、岸壁を斜めに捉えている。(距離は約7〜8m)(図4-1を参照)
写真2は、突堤部より対岸の岸壁を捉えたもので、距離は約30mカメラ間の距離はおよそ5m程度である。(ズームレンズにて撮影した)(図4-2を参照)
これらのフィルムとプリントをアジア航測(株)に送付し、「計測名人」を用いての解析を依頼した。
その解析結果状況は、次のとおりである。
写真1:岸壁を斜めから捉えているため2枚の写真におけるカメラ間の距離が不足していて、被写体深度が出しにくい。よってデータの解析は期待できない。
写真2:この写真を基にして、データ解析を行った。
結論から述べると、満足な計測結果が得られなかった。