本ソフトウェアの機能の詳細および、実験的にデータを解析した例と、実際の適用への問題点等について検討を行った結果をまとめたものを以下に示す。
(1) 写真計測ソフトウェア「計測名人」の機能
アジア航測が作成中のPCを用いた画像計測ソフト「計測名人」の機能は以下のとおり。
1) 基本機能
デジタルデータ化された画像(写真)を基に、ステレオ写真技法を用いて対象物の位置を計算し、3次元の座標データを出力する。
重なり合いが60%以上である2枚の写真について、建物の角などの共通部分の点を5点(これを以後評定点という)指定し、その5点を基に2枚の画像の重ね合わせを行う。
カメラの絶対座標が明らかである場合は、評定点を指定することにより座標データを出力することが可能。
カメラの位置が明らかでない場合は、5つの評定点の内の4点は相対的な空間座標の関係付けが必要であり(これを以後既知点という)、計測データを地図上の測量点として表示するためには、三角点などの絶対座標が分かる点(以後これを基準点という)が最低1点必要となる
計測データは、座標のワイヤメッシュデータの他に、DXFフォーマット(CADソフトのフォーマット)のデータとして出力することが可能であるとともに、写真画像を、計測データにテクスチャマッピングすることによって、立体的な画像として表示することができる。
また、アジア航測では、現在画像の自動認識(評定点の自動認識)技術を開発中であり、これは、画像処理技術を用いて行うものである。
2枚の写真に共通の形状を見つける → 5点の評定点の自動認識
2) 計測精度に関するポイント
写真測量において、計測精度に影響するポイントは以下のとおりである。
1] デジタルカメラ → CCD
通常写真 → スキャナー の画素数
2] カメラの焦点距離
3] カメラと計測物との距離
4] カメラ同士の距離 ※写真のスケール=2]/3]
使用するデジタルカメラの画素数が多ければ、分解能が増す。
また、焦点距離および計測物との距離は写真中における計測物の大きさを示す。写真中の対象物の大きさは、大きければそれだけ分解能が増すが、1枚の写真でカバーできる領域が少なくなるため、データ量およびデータ処理作業の量が増大する。