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これは、2枚の写真中に、「右の写真で見えているのに左の写真では見えない」部分が多く、これがデータを重ね合わせる際に「ミスマッチング」(データの座標が特定できず、座標値が飛び出してしまう現象)が発生しているためである。

データ解析結果を図4-3に示す。

このデータは、計測データから生成されたワイヤーメッシュデータに、解析に用いた写真をテクスチャマッピングによって貼り付けたものである。

画像が歪んでいる部分は、ミスマッチングによって、飛び出した座標値が周囲の正常な座標データを引っ張り上げてしまった結果である。

ただし、今回のデータ解析結果でも、マッチングがうまく行っている部分の計測精度は±2.5cm程度であり、岸壁のみを抽出して解析した場合、ミスマッチングによる歪みの影響を受けないため、岸壁の距離等はかなりの精度で計測可能であるとの結果が得られた。

岸壁のみを抽出した場合のワイヤメッシュデータと、テクスチャマッピングデータを図4-4および図4-5に示す。

 

(3) 気中部測量方法の検討

今回調査ユニットが採用を予定しているフォトグラメトリーは、気中部の測量に使用するが、解決すべき問題点も多い。

前出のとおり、フォトグラメトリーで、陸上の点を基準として測量を行う場合は、GPS等のアンテナを備えた基準点(陸側に設置)が何点か必要となるとともに、さらにいくつかの相対位置座標が明らかな既知点が必要である。

非常時を想定すると、被害を受けた岸壁は危険であるため、人間は上陸できないと考えると、基準点、既知点の設置(計測)を船上から実施することは非常に難しい。

岸壁法線の出入りだけであれば、岸壁上にGPSアンテナを設置することにより計測することはできる。しかしながら、港湾施設全体の3次元データを取得するためには、これだけでは不十分である。

この問題は、地上のポイントをもとにカメラの位置(本船の位置)を明らかにしたいがために生じる問題であり、本船の位置を元に港湾施設の測量を行おうとすると、話は多少変わってくる。

近年精度を増したRTK-GPS等を用いることによって、本船の位置を精度よく確認することができるようになった。(水平方向 約±2cm、上下方向 約±4cm)

これを用いて本船の位置を基本とした測量システムを考えれば、カメラの位置が正確に把握している状況での計測作業となる。

しかしながら、写真計測の誤差にプラスしてRTK-GPSによる位置計測の誤差が加わるため、誤差が拡大する方向となり、調査ユニットの目標とする精度が得られない可能性がある。

 

 

 

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