この距離で、現在最高レベルの600万画素の解像度を持つKodak-DCS460(カメラ本体はNikonF50)に、28mmのレンズを装備して、4mのカメラ間隔で撮影した場合、横方向に約10m〜15mの画像が取得でき、その奥行き方向の精度(分解能)は、約8mm〜18mmである。
写真計測による精度は、距離に大きな影響を受けるため、岸壁からの船舶の位置やカメラ間の位置関係が非常に重要である。
(2) データ容量
調査ユニットにおいて管理するデータおよびその量は、気中部のデータだけでも、以下のものが考えられる。
・デジタルカメラのカラー画像データ 約18MB/1枚
・CADソフトに渡す、DXFフォーマットデータ 約15MB/1図面
・テクスチャーマッピングを行ったデータ 約20MB/1図面
従って、1組のステレオ写真によって10mの画像データを処理すると考えると、5kmの岸壁のデータは
(18MB×2+15MB+20MB)×5000m/10m=35.5GB
となり、約40GB近いデータ容量が気中部のみで必要となる。
ここで、1港湾=200ヶ×5kmの岸壁とし、全国に同様の規模の港湾が500ヶ所あると仮定すれば、400万GBのデータ容量となり、現実的ではない。
よって、データの取り扱いやデータの圧縮等により、データ容量を減らすことが必要であり、今後検討を進める。
(3) 今後の検討課題
精度を上げつつ、データを効率よく取得するためには、次のポイントについて、今後検討を進めていく必要がある。
・岸壁からどのあたりを航走し、速度を含め、どの様にデータを取得するか。
・写真計測を用いて精度よく気中部を計測するためには、どの程度の距離から撮影することが必要であるか。
・計測データを素早く解析できるように、取ったデータを無線送信にて地上に送る。
さらに、大容量となることが予想される計測データを、如何に減らし、圧縮し、取り扱うのかも、調査ユニットを実際に使用する上での大きな問題である。
また、現状では、写真計測ソフトウェアを用いても、ステレオ写真の重ね合わせは人的作業であるため、求められる情報をタイムリーに出力するためには、計測データの地上への無線送信を含め、データ解析作業の効率化、スピードアップを計る必要がある。