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3.3 調査ユニット機能仕様の検討

ここで、今後研究を進めていく上での、調査ユニットの機能仕様について検討を加える。

現在対応可能である技術をベースに、要求機能に可能な限り近づけていく、いわば目標値的な機能仕様である。

 

3.3.1 調査ユニットの計測機能

(1) 要求精度

調査ユニットの主機能として、港湾および水域の3次元測量機能が上げられる。

これは、水中部に関してはマルチビーム超音波測深機を用いて計測を行い、気中部については写真計測によって行うもので、災害発生後の港湾施設および水域のデータを計測し、災害発生前のデータと比較することによって、施設の変状や、変位を明らかにするものである。

ここで言う“変位”とは、主として「岸壁法線の出入り」のことを指し、これまで発生した地震災害等のあとの調査において、常に重要なデータとして岸壁の変位が計測されている。

そこで、岸壁の変状を計測するために必要な機能を詳細に検討する。

港湾施設の被害としては、阪神・淡路大震災において、岸壁の崩壊や大きな陥没等が発生しており、これらの変位は数十cmのオーダーであった。しかし、その他に発生した釧路沖地震等における岸壁被害状況は、岸壁の変位がそのほとんどが2〜3cm、大きくても5〜7cmでという状態であった。

従って、本調査ユニットの気中部の計測精度は少なくとも10cm以内、可能であれば5cm以内の精度が必要である。

以下に、調査ユニットの概略の機能仕様を述べる。

 

013-1.gif

 

船舶からの計測によって、上記の精度をどの様に得るかについて、具体的に考えてみる。

マルチビーム超音波測深機を用いて岸壁の調査を行う場合、一般的に岸壁から水深と同程度の距離を離れて計測する(マルチビームの両端である、海底面との距離と岸壁までの距離をなるべく同一にしようと言う考え方があるため)傾向にあり、その距離はおよそ10〜15mである。その場合、超音波測深機の水平解像度は、フットプリントが1.5゜×1.5゜の場合約26cm〜40cmである。

 

 

 

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