日本財団 図書館


道した。これによると、89年から96年までの総破産件数は11,627件であり、その年度別の特徴は次の通りである(「表3、破産立案件数(95年〜96年)」を参照)。

「中華人民共和国企業破産法(試行)」は、86年に12月に全国人民代表大会常務委員会を通過・公布され、88年11月1日に当初は全人民所有制企業を対象に試行された。しかし表3にみられるようにその実施状況は一様ではなく、89年から91年までは、事実上極めて限られたケースにのみ実験的に適用されていた。89年には98件あった立案件数が、90年には32件と3分の1に減少し、91年は再度増加したもの117件であり、同法の適用件数は非常に少なかった。

しかし、この状況は92年以降大きく変化する。92年7月に「全人民所有制工業企業経営メカニズム転換条例」が公布され、企業の法人化と損益自己責任に基づく改革が開始されると企業破産も急増し始め、92年には428件(対前年比265%増)となる。次いで93年12月29日に「中華人民共和国公司法」(94年7月1日実施)が公布され、政府からの補填が銀行からの融資に切れ替えられ、94年11月に「全国現代企業制度テスト工作会議」により、破産メカニズムの確立が重要テーマになる。これに従って、93年には710件(同65%増)であった企業破産が、94年には1625件(同128%増)、翌95年には2385件(同46%増)と急増している。そして特に96年には6232件(同161%増)もの破産があり、この年だけで全期間中の半数以上を占めている。

 

3、 地域別の動向

 

同じく経済参考報に掲載された、95年から96年の省別の破産統計によると、省およびブロック別の動向として、次の3つの特徴をあげることができる。

 

(1) 省別の動向

「表4、省別破産企業数(95年〜96年)」によると、この2年間の総破産件数は8617件であり、内訳は第1位が山東省の1210件、第2位が黒龍江省の1145件、以下第3位河北省1024件、第4位湖南省832件、第5位遼寧省646件であった。上位5位までで、全体の56.3%を占めており、企業破産が政策的に特定の省に集中していることがわかる。

また96年の対前年比増加率で見ると、第1位が遼寧省の1268%、第2位が北京市の1100%、以下第3位湖南省511%、第4位内蒙古自治区485%、第5位安徽省452%となる。しかしながら、上記の内北京市は、95年の1件から96年の12件への増加であり、総数も13件に過ぎない。従って、95年〜96年の絶対数と増加率の双方を考慮すると、遼寧省・湖南省・河北省・吉林省・江蘇省等で急速に企業破産が促進されたといえる。特に遼寧省での増加率は、一挙に12.6倍に達しており、強い政策的意図を示している。また、黒龍江省も総数では1145社(第2位)と高レベルにあるが、96年の増加率はマイナス9.8%であり、不自然な減少となっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION