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改革の深化に関する通知」により、社会的統一調達と個人勘定の結合と、個人労働者にも対応可能な多元的資金の確保、管理サービスの社会化など、今後の新たな改革目標が確定されている。なお、現行の個人掛け金は給与収入の3%前後となっている。

失業保険は、86年に公布された労働関係4法の内の「国営企業従業員待業(失業)保険暫行規定」により開始された。93年には保険対象者を国有企業から集体企業と外資系企業の職員労働者に、また保険金負担も国家と企業から個人を加えた3者負担に変更し、94年にはさらに支給額などの修正が行われている。なお、現行の個人掛け金は給与収入の1%前後となっている。

上記3保険の内、改革が最も難しいといわれている医療改革は、現在90年の「中国衛生の発展および改革要綱(1991〜2000年)」に基づき改革が進められており、94年には国務院が出した職員労働者の医療改革実験に関する意見により、経費負担が個人にも拡大し、社会的統一調達と個人勘定をセットした実験を行っている(注35)

最低生活保障制度は、上記の保険制度でカバーできない特別貧困家庭や生活困窮労働者などの救済のために実施されている。通常、地方政府レベルで、民政局を中心として工会・財政局・労働局・統計局・社会保険公司などをメンバーとする最低保障制度工作指導グループが設立されており、目標設定・管理事務・調査研究などを行っている。また一部の地域では、特に都市部労働者の生活困窮世帯に対する救済活動を、「職工解決困難弁公室(職員労働者の困難を解決するための事務室)」が行っているケースもある(注36)

 

1) 遼寧省の状況

A) 養老保険制度

都市部における養老保険は、1997年9月現在、基本養老保険の総合加入率が88.3%で、内国有企業が98%、外資系企業(中国人労働者)89%、集体企業84%と、非常に高い加入率となっている。また96年に省政府より「遼寧省における都市企業の職員労働者の基本養老保険制度改革を深化させるための実施弁法」が発令されて以降、社会的統一調達と個人勘定を組み合わせた新基準による改革も本格化している。96年に大連市・鞍山市で養老保険の個人勘定システムによる実験が開始されて以降、97年現在このシステムは瀋陽市・撫順市・本渓市・錦州市にも拡大適用され、加入率は62%に達している。また、農村部での社会養老保険への加入者も急速に増加しており、97年現在、597万人であり、18歳〜55歳までの加入必要年齢者の44.8%を占め、社会養老保険総額は5.6億元に達している(注37)

B) 失業保険制度

96年現在の加入率は83%、内国有企業は既に100%で、外資系企業も95%以上、集体企業も85%以上達している(注38)

 

 

 

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