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いる。活動資金は、市政府財政局から直接拠出される800万元と、都市建設税の50%が充当される就業基金から支出されている。

現在の活動内容は、1)リストラされた労働者に対する職業紹介や、2)同労働者の創業資金の無利子貸し付け、3)同労働者の職業訓練、4)同労働者の基本生活費の保障に使用されている。基本生活費の支給は、原則2年以内であるが、必要に応じてもう2年間延長するケースも存在する。またリストラされた労働者には、「就職優待証(就業優恵証)」を発行しており、これにより労働市場登記が無料となるなど、行政レベルで、優先処理・優待および免除などの特別サービスが受けられるようになっている(注26)

 

2) 吉林省の状況

97年の登記失業率は対前年比で0.48%増加し2.78%であった。同年リストラされた労働者は60.87万人で、内再就職できた者は46.7%にあたる28.44万人であった(注30)。しかし97年1〜9月、都市部従業員の626万人の内、10%にあたる63万人が操業停止・半停止状態の企業に属しており、また農村部従業員630万人の内、28.5%にあたる180万人が出稼ぎをしなければ生活困難な状態にあり、全体として非常に厳しい状況にある(注31)

97年に同省では、都市部での貧困救済と再就職プロジェクトを強化しており、省レベルでの都市貧困援助基金と再就業基金を設立した他、69の市・県などで専門機構を設立し、省と州・市の間での目標請負によりプロジェクトを推進している(注30)

 

3) 黒龍江省の状況

97年の登記失業率は0.3%増加して2.8%で、同年再就職者した者は71万人であった(注32)。しかし、96年第14半期の統計によれば、同省での賃金の遅配・不払い総額は24.7億元、その職員労働者は102万人に達しており、労働者を包む環境は大変厳しい状況にある。

このような状況に対して、省政府では95年より「黒龍江省での再就業工程実施方案」や「再就業工程をさらに深く実施するための意見」を出し、再就職事業の強化と余剰人員の分離促進を実施してきた。具体的には、以下の4点の活動を中心に活動している。先ず第1は、組織の強化である。現在省から県政府に至るまで、指導グループとその実施機構を組織し活動を強化している。第2に、目標責任制という請負を実施し、各機関が再就職者数の目標を設定し、結果をチェックすることで同プロジェクトを促進している。第3は、再就職先の確保である。このため労働市場を設立し、96年には1444箇所の職業紹介所で再就職の斡旋を行ない、約80%を再就職させた他、現在は主に第3次産業を中心に、積極的な雇用の確保・創出を行っている。第4は、再就職訓練の実施である。労働力の質を高めるため、96年には約21万人の労働者の再就職訓練を実施している(注33)

なお同省では、固有の地理的条件を活用した「三三制」というユニークなリストラ兼再就職プログラムを実施しており、10万人の労働者の配置転換に成功している。

 

 

 

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