2) 吉林省の状況
97年6月現在吉林省では、「全省における国有資産管理と運営体制改革の実施法案」に従い、国有資産管理委員会や同弁公室の設立準備が行われているが、未だ設立されていない。省レベルでの国有資産管理体制の改革は、長春市・吉林市・松原市で実験的に実施されており、18の国有資産経営機構が設立されている(注24)。
3) 黒龍江省の状況
97年6月現在黒龍江省では、ハルビン市・牡丹江市・チャムス市・七台河市で国有資産管理体制の改革を実施しており、国有資産管理委員会を設立すると共に、地方政府の専業経済管理部門を資産経営公司に改組する実験を実施している。1997年にハルビン市では、軽工業局・機械局が資産経営有限責任公司に改組されている(注25)。
(7) 再就職プロジェクト
企業改革の進展は、同時に企業倒産による失業者の増大と、企業内余剰労働力の解雇を促進する。これに対応するため地方政府等の関係機関により、「再就業工程(再就職プロジェクト)」が実施されている。その主な対策としては、1)再就職者を雇用した企業に対する税金の減免措置や銀行借款などによる優遇政策、2)職業紹介所の開設、3)再就職者のための職業訓練の実施、4)再就職希望者の創業資金の無利子貸し付け、5)生活困難な貧困世帯に対する救済資金の支給などを行っている。
同プロジェクト組織は、一般的には市政府内に、市長を組長とし市委・工会・工商・財政・労働・公安などをメンバーとする就業工作領導小組を設立し主要な政策を決定している。また同小組と同様な組織は、区・県レベルにも設立され、街道委員会や居民委員会にも事務局が作られており、縦(上級機関から下級機関へ)横(同じ行政レベルにおける各部局間)で協調して活動できる体制となっている。主な活動資金は、1)市財政局から直接拠出される資金と、2)失業保険基金から支払われる資金によって運営されており、さらに一部の都市では各種財源から充当される再就業基金から支出されるケースもある(注26)。
同プログラムの主な問題点としては、労働市場の需給や同プログラムの実施規模の問題から、再就職する者より発生する方が多いため、失業者・半失業者が累積拡大している点にある。また制度的問題としては、各資金源からの拠出が不安定でありプロジェクト経費が不足している点があげられ、労働者自身の問題としては、観念が保守的すぎ第3次産業への転職を拒んだり、技能が古く単一的であるため、転職が困難な者が多い点があげられる。
東北3省における同プロジェクトの概況は、次の通りである。97年の登記失業率でみるかぎり、全国平均が3.1%であるのに対して、遼寧省が3.7%・吉林省が2.7%・黒龍江省が2.8%であり、3省共に決して高い水準にはな