合をみても、中央政府が同省を重要視していることがわかる。以上の措置により97年6月現在この6都市で、長期赤字企業32社を破産させ、不良債権を4.68億元減少させた。また31社を合併させ、41.96億元を再活性化させた。これにより国有企業資本負債率は1.2%減少し、赤字企業を112社減らしている(注21)。
(6) 国有資産管理システムの改革
国有資産管理システムの改革は、国有資産管理の新しい体系である「3級授権経営制」による、3つのレベルでの機構確立を目指している。第1レベルでは、地方政府内に国有資産管理委員会を組織し、国有資産に対するマクロ管理と監督を行い、第2レベルでは、地方政府内に国有資産管理経営公司(国有持ち株会社)を組織し、国有資産管理委員会から授権し、国有資産委託人(出資者・所有者)としての投資や所有権取り引きを行い、第3レベルの国有企業で、国有資産管理経営公司からの授権により、国有資産の経営および維持増加のための経済活動を行うことを目的としている。
東北3省における国有資産管理改革の概況は、開始時期が正確にわからず、運営実態についても不明な点が多い。しかし限られた資料ながら、97年までの国有資産管理委員会とその事務局の設置状況をみると、遼寧省では6都市で設立され、2都市で準備が進められており、黒龍江省でも4都市で設立されるなど、両省では急速に体制整備が進んでいる。しかし吉林省では3都市で準備が進んでいるのみで未だ設立されておらず、その進展状況に大きな格差がみられる。
1) 遼寧省の状況
96年、省共産党委員会の「瀋陽市などの5都市でモデル改革を総合的に実施することに関する意見」に従い、96年に瀋陽市・鞍山市・撫順市・本渓市の4都市で、97年には錦州市・営口市の2市で国有資産管理委員会とその事務局が組織されている。さらに大連市・丹東市でも設立計画が現在作られている。これに併せて、地方政府改革も開始しており、1〜3部門の比較的条件の整った専業経済管理部門(専門業種別の管理部門)を選び、国有資産経営管理公司や国有持ち株会社に改編する実験をしている。96年10月末までに、全省で24社の国有資産運営機構が成立している。内訳は、9社(全体の37.5%)が専業経済管理部門の再編、15社(同62.5%)が省政府より経営を授権された大型企業集団であった(注22)。
<国有資産管理委員会の事例>
瀋陽市国有資産管理局は96年末に設立され、97年1月15日から正式活動を開始ており、国有資産の活性化のため、管理、運用、監督の3つの仕事を行っている。1月15日には、瀋陽市国有資産管理委員会が、張栄茂市長(当時、現市人大主任)を主任とし、市委・市政府各職能部門など国有資産を管理する全ての部局をメンバーとして設立され、902億元の固有資産を統一的に計画運営するため活動を開始している。97年4月現在、同弁公室は、瀋陽市国有資産管理局と同一団体が担当しており国有資産の総量を調査し、作業スケジュールを検討していた。同一団体が2つの名称を使用している理由は、省政府にまだ同委員会が設立されていないためであった(注23)。