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3) 黒龍江省の状況

黒龍江省では、国有小企業改革に当たって、「三枚三不放」原則が取られている。「三枚」とは、企業改革において財政・経営・方法を自由にすることであり、「三不放」とは、資産管理・納税・労働者の再就職を厳しく管理監督することを指す。同省では、株式合作制・合併・破産・委託経営等により、全省国有小企業の95%に当たる2435社が改革の対象となっている。改革方法の詳細については不明であるが、株式合作制など従業員に対する経営の開放が主流であり、一部では個人経営も導入されている(注18)

 

(5) 資本構成適正化モデル都市(優化資本結構試点城市)

 

「資本構成の適正化(優化資本結構)」とは、未活用の国有資産を活性化・流動化させるため、国有企業の改組・経営形態の変更により経済効率を向上させたり、改善不可能な企業は赤字拡大を防ぐため企業破産を促進させることを指す。このため国務院では、重点都市単位で国有企業改革を促進するため、「資本構成合理化のためのモデル都市」を指定し、税金・利子の減免や貸倒れ引当準備金の使用など財政面での優遇措置や、再就職事業などの制度面での整備を推進している。モデル都市は95年は18都市であったが、96年には50都市に増加し、さらに97年には111都市に拡大され、現在では主要都市を網羅するようになっている。

モデル都市での全政策内容は、残念ながら不明である。しかし現在「企業合併破産と職員労働者の再就職活動計画」など、新聞報道や社会科学院の報告書により確認できたものだけでも、(1)企業の増資減債の促進、(2)企業合併の促進、(3)企業破産の促進、(4)職員労働者のリストラの促進、(5)再就職センター設立などによる再就職事業の展開、(6)最低生活保障など社会保障制度の整備を中心に実施している。

東北3省におけるモデル都市改革の概況は、次の通りである。97年現在モデル都市数は、遼寧省は8都市、吉林省が4都市、黒龍江省が6都市となっている。指定都市数で見る限り、遼寧省は全国111都市の7.2%を、そして黒龍江省も5.4%占めておりその比重は高い。特に遼寧省は全省の57%が指定都市となり、また黒龍江省でも全省の80%の国有企業が優遇政策の対象となるなど、両省共に同政策の恩恵を強く受ける省となっている(「表1、東北3省の国有企業改革(1997年)」を参照)。

 

1) 遼寧省の状況

省内で国務院より指定された都市は、96年までは、瀋陽市・大連市・鞍山市・撫順市・本渓市の5都市であったが、97年には更に丹東市・錦川市・営口市の3都市が追加指定され、合計で8都市となった。これは、全省14市の57%、そして全国111都市の7.2%を占めており、非常に高い比重となっている。

 

 

 

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