招へいミス・資産の区分不全・国有資産の流失・債務処理不全・社会保障や福利施設の分離不全などの問題が発生している。
東北3省での中小企業改革の進展度を比較することは、論文により基準やデータが異なるため非常に難しいが、おおよその概況は次の通りである。何らかの方法で財産権または経営方式の改革を開始した企業の総数は、遼寧省約5400社(中小企業数:97年10月末)、吉林省1825社(小企業数:97年6月末)に達しており、改革方法は株式合作制の導入や企業売却・破産が主流となっている。また、黒龍江省でも全省の95%に当たる2435社で改革が計画されている。これは国有中小企業総数の80%〜90%に達しており、社会に対して非常に大きなインパクトを与え始めている。
1) 遼寧省の状況
遼寧省の中小企業改革の進展度については、論文によりデータが異なる。何らかの方法で改革が開始された企業は、96年の65%から97年末には90%に拡大し、97年10月末現在の総数は、約5400社に達しており、この1〜2年で急速に改革が促進され、大きなインパクトを社会に与え始めている。改革方法については不明な点が多いが、96年に地方予算内小企業に対して行われた調査によると、株式合作制153社、企業破産67社、株式制58社、合併47社、売却45社、委託経営13社であった(注15)。
<中小企業の集団売却の事例>
1997年11月20日瀋陽市政府は、軽工業・機械・医薬・化学工業・冶金・紡績等9業種、192社(資産総額32.9億元)に及ぶ、国有・集団所有制小企業を公開売却した。内12社が、当日の新形記者発表会で、譲渡・委託管理と財産の部分売却の契約に署名した。
席上瀋陽特種環保設備厰に売却された瀋陽直流電機厰の工場長は、「企業売却は職員労働者の共通した意見であり、これで企業の将来は保証され、私も職員労働者もやっと希望を見い出すことができた」と語った。この小企業は、近年各種の方法を取ってきたが依然倒産も活性化もできない状況にあり、今月に至っても数ヵ月連続で給与が未払いであった(注16)。
2) 吉林省の状況
吉林省では、省体制改革委員会の指導で、公主嶺市での財産権制度改革と企業誘致をセットにした株式合作制の実験を拡大するため、省内に12の小企業改革モデル県(市・区)を指定している。97年6月現在、この12のモデル県で、1825社の企業改造が実施されており、そのシェアは改造を必要とする企業の86.1%に達している。この改造により、活性化された資産は16.2億元、新たに投入された資本が7.9億元、処理債務が6.5億元、再就職労働者が80720人となり、黒字に転換した企業505社、赤字が減少した企業294社などの成果をあげている。改革方法については不明な点が多いが、96年6月末の国有小企業238社に対する調査によると、破産60社(全体の25.2%)、財産権の売却が48社(同20.2%)、合併が30社(同12.6%)、リースが29社(同12.2%)、分割経営が28社(同11.8%)、閉鎖が22社(同9.2%)、合資合作が21社(同8.8%)であった(注17)。