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工業部門でみられ、製品生産が関連企業を結び付けている。B)経営サービス型企業集団:商工企業集団を形成しており、生産から販売に至る経営活動が関連企業を結び付けている。C)技術開発型企業集団:特許や技術開発体制等、技術開発が関連企業を結び付けている。D)複合多角型企業集団:金融機関等を入れた資本関係により関連企業を結び付けているもので、多角的経営により総合的利益を追及する。現在、多くの企業は、A)製品生産型企業集団とB)経営サービス型企業集団であるが、株式制度導入に伴いD)複合多角型企業集団が増加しつつある(注10)

企業集団の形成によるプラス面としては、従来の計画経済下での縦割の管理体制を改善し、資金調達や技術開発等において企業の競争力を強化できることがあげられる。しかしマイナス面としては、現在の企業の集団化は行政主導で行われているため、企業改革の最大の課題である「行政と企業の分離」が難しく、各市で企業集団が乱立している点、そして赤字企業を吸収合併させる等、企業の集団化を破産回避の手段としている点などがあげられる。

東北3省における企業の集団化の概況は、次の通りである。97年現在の企業集団数は、吉林省が203グループ、黒龍江省が506グループ(遼寧省は総数不明)と乱立が目立つ。このため遼寧省では「123プロジェクト」に基づき60グループに、また吉林省では「壮大な企業グループを発展させるための意見」により10グループを重点企業集団とし、地域や業種を超えた大企業グループの育成が図られている。

 

1) 遼寧省の状況

97年より遼寧省では、「123プロジェクト」により、販売総額が100億元以上の大企業集団を10グループ、50億元以上を20グループ、20億元以上を30グループ設立することを政策目標としており、97年9月現在で、全体の55%にあたる33社が設立されている。この60グループを省重点大企業集団とし、企業集団の強化を図っており、具体例としては、鞍山製鉄・大連石油第7厰・長白集団・東北通用機械集団等があげられる。

<企業集団の事例>

本渓市では、企業集団に対して生産による単一な企業経営から、資産経営を含む複合的な経営をするよう積極的に指導している。1997年6月現在、同市の7つの企業集団は、総生産額が15.7億元で、対前年同期比26.1%増となった(注11)

 

2) 吉林省の状況

吉林省で設立された企業集団は、95年の179グループから97年には13%増加し203グループとなった。同省では、省政府が調査研究の結果まとめた「壮大な企業グループを発展させるための意見」に基づき、35年間の時間をかけて、50社の大型企業と大企業グループを設立する計画があり、現在全国的に影響力のある、第一汽車や吉林化学などの10社を選び大企業グループに改組・発展させている。

 

 

 

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