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2) 吉林省の現況

97年6月現在、指定企業は計103社あり、内訳は国家レベルが4社、省レベルが99社である。96年に第2陣として省レベルで69社が追加批准されており、この1年間で指定企業が3倍近く増加されている。

第1陣で批准され、改組計画が実施段階に入った34社の内、20社(全体の58.8%)が国有独資会社に、7社(同20.6%)が株式式会社に、7社(同20.6%)が有限会杜に再編された。この改組により、増資減債が約20億元、労働者のリストラが24,902人、平均負債率が7.4%減少する成果を上げた。しかし、改組後も半数近くが国有独資会社であり、またリストラされた労働者についても内訳をみると、退職者が38.6%・職業訓練中が28.9%であり、3分の2以上が再就職できていないなど、今後に多くの問題を残している(注3)

 

3) 黒龍江省の状況

97年6月現在、指定企業は計30社あり、内訳は国家レベルが3社、省レベルが27社である。全体の96.6%に当たる29社で改組計画が実施段階に入っており。内15社(全体の50%)が国有独資会社に、9社(同30%)が有限会社に、6社(同20%)が株式式会社に再編されている(注4)。第1陣の計画実施比率は高いものの、第2陣の指定があったか否かは、残念ながら不明である。改組後も、半分が国有独資会社となってしまう点に問題を残している。

 

(2) 株式会社制度の導入

 

中国では、財産権に関する制度改革の一環として、株式市場からのより広範な資金調達を可能とし、近代的企業経営システムを確立するため、株式会社制度の導入を行なっている。93年12月に公布され、翌94年7月より実施された「中華人民共和国公司法」(以下公司法と省略)と、95年の国務院発17号文件に基づき、株式会社による法人管理機構・株主管理制度などの導入実験をしている。

96年末、全国レベルで国有企業から転換した株式会社と新たに設立された株式会杜の総数は約9200社、資本総額は6000億元、一般からの資金調達は1500億元に達し、全国工業企業ベスト500の内、107社が株式会社となった。

株式会社制度導入によるプラス面としては、生産性が高まり株式市場から直接巨額の資金調達が可能になる点があげられる。しかしマイナス面としては、株式会社への移行に成功した国有企業は、もともと経営状態が良かった企業や、不採算部門を切り離して新企業を設立したものが多く、切り離された赤字国有企業や、大量の余剰労働力問題の抜本的解決にはならないという点がある(注5)

なお、東北3省での株式会社制度の導入概況は、次の通りである。公司法に基づく株式会社の総数は、遼寧省191社(96年)、黒龍江省156社(97年)、吉林省109社(97年)である。97年の上場企業数でみると、遼寧省42社、

 

 

 

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