管理制度の確立を目指している点にある。企業形態としては、国有企業を主に、一般有限会社(以下、有限会社と省略)・固有有限独資会社(以下、国有独資会社と省略)・株式有限会社(以下、株式会杜と省略)に転換することを指す。
94年11月の「全国現代企業制度テスト工作会議」に基づき、国家レベルの指定企業が100社、省直轄市レベルの指定企業が1300社、地区・市レベルの指定企業が約800社、計約2200社が現代企業制度の実験指定企業となり、主に以下の方針で改革・改組が進められている。a)一般の固有大中型企業は有限会社か株式会社に転換する。b)特殊企業(国防・航空・鉄道・エネルギーなど)や重要製品を生産する独占的国有企業は、国有独資会社に転換する。c)一般の国有小型企業は従来のリース制・委託経営の他、株式会社や有限会社への改組や個人・集団企業・外資企業への売却を認める。d)主力産業や基幹産業における中堅国有企業では、国が支配的な株式所有者となるが、非国有資本の参入も認める。e)全国範囲の業種別「総公司」は持ち株会社とし、企業グループ形成の中心とする(注1)。
現代企業制度の主な問題点としては、a)国有企業の資産評価方法と資産の分割方法が確立されておらず、b)国有企業が抱える多額の債務の処理方法が不明瞭であり、c)政府と企業の分離が必要であるが政府の機能転換が進んでおらず、d)企業が負担していた社会機能の分離が必要となるが、公的な社会保障制度の整備が不完全である点があげられる。
なお、東北3省での現代企業制度改革の概況は、次の通りである。97年現在、国および省レベルの現代企業制度指定企業は、遼寧省は135社(全国比9.6%)と吉林省が103社(同7.3%)であるのに対して、黒龍江省30社(同2.1%)と異常に少ない。しかし、この黒龍江省の数値はヒヤリングで得たものであり、96年の第2次指定分を除くと、他の2省もほぼ同レベルの30社台となるため、もう1度事実確認が必要である。なお、各省の国家レベルの指定企業は、遼寧省4社(同4.0%)、吉林省4社(同4.0%)、黒龍江省3社(同3.0%)と大きな違いは認められない。3省に共通する問題点は、再度全体の半数以上が国有独資会社に改組されてしまう点であり、今後に大きな問題を残している(「表1、東北3省の国有企業改革(1997年)」を参照)。
1) 遼寧省の状況
97年9月現在、現代企業制度改革のための実験指定企業は計135社あり、内訳は国家レベルが4社、省レベルが131社である。96年に省レベルで100社が追加されており、この1年間で指定企業が3倍近く増加されている。
現在全体の42.9%に当たる58社で、改組計画が承認され実施段階に入っている。計画の内訳は、36社(全体の62%)が国有独資会社に、14社(同24.2%)が株式式会社に、8社(同13.8%)が有限会社に再編される予定である。改組後も、企体の3分の2近くが国有独資会社となってしまう点に、今後の問題を残している(注2)。