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2) 企業破産に積極的な地域

環渤海地域(遼寧省・河北省・山東省・北京市・天津市の3省2市)が全体の34.4%、東北地域(黒龍江省・吉林省・遼寧省の3省)が同26.4%と集中傾向にあり、この両地域だけで全体の53.3%と過半数を超えている。この他、中部地域(黒龍江省・吉林省・内蒙古自治区・山西省・河南省・安徽省・湖北省・湖南省・江西省の9省(自治区))にも、全体の46.9%が集中している。従って、総体的には中部地域と山東省以北の東部(沿岸)地域に、企業破産が集中しているといえる(「表3、地域別企業破産数(95年〜96年)」参照)。

3) 企業破産に消極的な地域

企業破産に消極約な地域としては、直轄市(北京市・天津市・上海市の3市:全体の2.4%)と、少数民族自治区(内蒙古自治区・新疆ウイグル自治区・広西チワン族自治区・寧夏回族自治区・チベット自治区の5自治区:同4.4%)をあげることができる(内蒙古自治区を除く)。全体的には、直轄市・少数民族自治区等、何れも政情不安が一旦発生すると収拾が困難か、内外に対する影響が強い地域では、政策的に企業破産が抑制されている。

4) 東北3省の状況

95年から96年にかけて、東北3省の企業破産件数は、黒龍江省1145件(第2位)、遼寧省646件(全国順位第5位)、吉林省488件(第7位)と、3省共に非常に多く、全国のトップレベルにある。この内、特に遼寧省は、96年の対前年比増加率が1268%(第1位)と激増しており、全国的にみても異常な増加率を示している。また、黒龍江省は企業破産件数が同9.8%と減少しているが、破産件数が減少している省は、同省と新疆ウイグル自治区のみであり、不自然な変化となっている。

 

2、 地方政府の失業・最低生活保障対策;

 

(1) 失業・一時帰休者の動向

97年の登記失業率でみるかぎり、全国平均が3.1%であるのに対して、遼寧省が3.7%と若干高いが、吉林省は2.7%・黒龍江省も2.8%と平均を下回り、3省共に高水準にはない。

しかし、遅配・賃金不払い労働者や一時帰休労働者など再就職が必要な労働者数が、3省共に全職員労働者の10%以上存在している。さらに現在稼動している国内企業も30%前後の余剰労働力を内包しているといわれ、また遼寧省では月収150元(約2700円)以下の不完全就業者が同30%近く存在しており、労働環境は非常に厳しい状況にある。

そのため労働力の流動化率は高く、97年の都市職員労働者数の減少率は、全国平均が0.5%減であるのに対し遼寧省2.9%減・吉林省1.8%減・黒龍江省1.4%減と、全国平均の3〜6倍に達している。また、各省の再就職者数の全国シェアは、遼寧省8.1%・吉林省5.9%・黒瀧江省14.7%に達し、3省で全国シェアの28.8%に及んでいる(「表4、東北3省の労働関係指標(1997年)」を参照)。

 

 

 

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