さらにもう1つは、国有企業改革は、ほかの金融改革や行政改革などと違って、地域性が非常に強く出る改革だと思います。南のほうはあまり問題がなくても、北のほうで大きな問題が出る。西のほうの問題と東のほうの問題とは、産業の構成そのものが変わってくれば、対応の仕方そのものも変えていかないといけない。全国一律で、平均では説明できない改革ではないかと思うのです。
したがって、結果として何が言えるのかというと、もう一度、例えばいくつかのサンプルの地域を選んで、そこで国有企業改革と、その補完的な改革がどう行われているのかというのをとらえ直す必要があるのではないか。そうしないと、今後、日系企業の進出とか、それから日本のODAを使った国有企業改革支援が仮にあるとすれば、地域によっては、かなり誤った方向になる場合もあるのではないか、そんな気がしています。
G ありがとうございます。
司会者 今の問題に関連しまして、ちょっとつけ加えさせていただきます。中国の国有企業の倒産は、基本的には2つの条件に制約されています。1つは、皆さんがおっしゃったように、要するに国有企業の従業員の生活のこと。もう1つは、中国は、基本的には毎年どのぐらいの企業が倒産することができるか、その枠が決っています。この枠は、要するに現行の不良債権を回収できない、そういう債権は引当金で補うわけですが、その引当金の枠は毎年300億元設けられています。毎年300億元ぐらいの赤字はOKということですね。しかし、今、現行の不良債権は、国有銀行だけでも約1兆元で、その中の80%以上が、国有企業に対する債権となっています。
そうすると、これだけでも、膨らまなくても30年間かかります。毎年300億、300億とやっても30年間かかるのです。これは、とてもできないです。しかも灰色の部分、わからない部分がまだまだたくさんあります。正確な不良債権はどのぐらいかわからない。だから、毎年処理できるのは300億元しかないのです。
今は国有企業からは地方政府にはほとんど収益はありません。つまり、地方政府は1日も早く負担をおろしたい。しかし、制約されています。だから、計画的な倒産が行われているわけです。
もう1つ、国有企業の設備はほとんどが利用できない状態です。ただの鉄のくずだと私は思います。(笑)そして、中国の国有企業は、計画経済の時代では減価償却という制度がありましたけれども、そういう償却権は、全部中央政府に吸い上げられてしまっ