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G  実は、私がこの質問をしましたのは、先ほどD先生からもお話がありましたように、この国有企業の改革として、国の政策として、失業した人をどういうような形で再訓練をして再就職をさせていくか、あるいは、ある程度、国が再訓練したり就職を斡旋するということとともに、違う産業、例えば第3次産業への転換ですね。それを積極的に政策的に転換して、そこから需要を政策誘導的に増やすことは、一つ、労働問題としてとらえることができるのです。

もう1つは、なぜ国有企業の改革が、なかなか進まないかという問題です。やはり注目は、社会保障問題が非常に関連していると思うのです。具体的に言えば、ナショナル・ミニマムがまだ整備されていないことですね。先ほどのご紹介の中に、都市部の最低生活保障制度が出てきました。これは、95年から実施されていて、恐らくテストケースだろうと思うのですが、この2番目の問題は、つまり1つの地方政府で解決できる問題ではなくて、むしろ中国全体の社会保障問題としてどう取り組むかがポイントとなっています。

3番目は、国有資産をどう評価するかですね。なぜ資産を評価しないといけないかといいますと、公共の設備と建物、あるいは土地、それをどう有効的に再開発というか、再利用するかを考える際には、そこの中に、国有資産の評価というものがないとできないわけです。

この3つのポイントを、ある意味ではセットとして考えるということになりますと、これはまさしく政治問題なのですね。私はかつて医学を学び、今、少し政治学を勉強しておりますが、医学問題は医療政策問題と考えられます。この国有企業改革の問題も、ただ経済的な問題だけではなくて、むしろ政治問題であるという意味で、これからどう考えるかというところを、もし吉田さんの考え方がおありでしたら教えていただきたいのですが。

吉田  今のご指摘、全部、そのとおりだと思います。とても大切なご指摘だったと思います。私自身も、一番初めに申し上げましたように、まず国有企業問題を考えるときに、2つのポイントについて考え方を変えていく必要があると思っています。まず1つは、国有企業改革というのは、単なる企業に対する改革だけではなくて、郡市の制度そのものに対する改革であると、そういう広がりを持ちつつあると思うのです。

 

 

 

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