というのは、失業対策のほうからの話でしょうけれども、それだけではなくて、偽装破産をさせて儲けるとか、いろいろなこともあるみたいです。とどのつまりは、不良債権をどういうふうに処理して新しい会社へどう引き継ぐのかという、その国有資産の評価、査定の問題などが、やっぱり絡んできているんだろうと思うのです。
F 中国では、破産一つにしても、中央政府の考えに基づいて、どの地域とかそういう決定がなされている中で、こういう非常に逼迫した状況になると現実路線を選ばなければいけないということになって、こういう若い決定権というか、実質的にそういう判断を許されるという状況が生まれてきたんでしょうか。もともと、わりと現場主義だったのでしょうか。
吉田 労働問題については、もしくは生活保障の問題については、かなり現場主義をとっていると思います。ただ、今、D先生がおっしゃったように、企業破産については現場主義はとりません。当然のことながら、中央政府は国有銀行の負債を減らしたいわけですね。ですから、そう簡単に企業破産をさせるわけにはいきません。
ただ、市政府、省政府の側から言いますと、日々、自分たちが勤めている政府のビルの前でデモがあるわけです。そこのデモに参加する人たちというのは、自分のよく知っているような人たちなんですね。だから、ほんとうに彼らが食えないというのは、よく知っているのです。日本のデモと言っちゃいけないのかもしれませんが、日本でも、以前、例えば公害問題が起きたときのデモであれば、ほんとうに死ぬ、死なないの問題で必死にやっていたデモがたくさんあると思うのです。そんなデモと非常によく似ているのですね。地方政府の人たちは、そういうデモの人たちの間をくぐって、毎日毎日出勤するわけです。ですから、そういう人たちは、どうにか地方に有利な政策をとりたい……、よく解釈するとですが、なるべく地方に有利な政策をとりたい。それで中央とぶつかります。
ですから、企業破産については地方にもある程度決定に参加する権限はありますが、これはやはり中央とのネゴになります。ですから部署、それから内容によって、決定できる実権者がどこにいるのかは、かなり変わってくると思います。
ただ、もう1つ申し上げられることは、中国の地方政府のリーダー、それから各部局のリーダーは非常に若くなっています。私、領事館の職員でいろいろな式典に行きました。そうすると局長クラスが並ぶわけですが、局長はほとんど私と同じ年、30代後半