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その保障金すらないために、新たにその保障金を調達できる企業のみが破産している。そんなところが問題になっていて、法律がそのまま市場経済で適用されるような形で破産が起きていないというのが現状だと思います。

E  そうしますと、積極的な地域というのは破産引当金がそれだけ集まっているということですか。

吉田  そのとおりです。これは仮説ですが、中央政府が、この地域は積極的に破産させてもいい、言い方を変えれば、この地域は積極的に企業破産をさせて、経済構造を調整していこうと思っている地域だと考えられます。

F  最後のほうで、吉田様のお話の中で、やれるもので効果のあるものを、片っ端から実行するという趣旨のお話がありました。非常に積極的であるということですが、どのようなポジションの人が、どのような判断基準で、どのように決定しているのでしょうか。

吉田  32頁の「職員労働者の困難解決事務室」の例でお話ししたいと思います。瀋陽市の例です。形式上は市長、それから各部局の局長、それから副局長を代表者とする指導グループがつくられていまして、そこで政策が決定されるようになっています。ただ、これは形式的な問題でして、実際には、瀋陽市の場合には、市の共産党委員会の中に共産党、それから労働組合、市の財政部などから派遣された専従の職員が7名いました。この7名、非常に若い方なのですが、実質的なトップが、労働組合から派遣された35歳ぐらいの女性だったと思います。彼女が、実際に決めていたようです。

D  それに関連するコメントなのですが、破産法をつくった人物はソウ・シゲンという人ですね。彼は、今、北京でコンサルタント会社をつくっていて、あちこちに呼ばれていって破産の仕方を教えているわけです。例えば武漢に行って教えたり、あるいは東北では瀋陽はもちろん行っています。迎えているのは、今、おっしゃったように市の行政当局で、その問題を担当しているようなセクションという例が多いですね。

あと、今度は逆にそういう企業の側からも頼まれるわけですね。破産した企業を買収するとか、売るなんていう形もあります。

基本的には、今、失業対策が一つの大きな問題だから、それは雇用情勢ということで、その地域の労働当局がよく考えなければいけないということが1つあります。もう1つはお金の話で、不良債権をどう処理するのか、それから吉田さんがおっしゃった引当金

 

 

 

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