吉田 はい。
A じゃあ、機械だけあってもだめですね。
吉田 はい。
A 操業停止のことですかね。
吉田 恐らく操業は停止していると思います。煙突からは一切煙は出ていませんでしたし、機械が動いているような音とか、そういう気配は一切ありませんでしたから。
A 債務も踏み倒しということですか。
吉田 実は、そこも……。非常にいい質問です。いい部分だけ集めて瀋陽工作機械をつくった理由は、ここの第1工作機械、第2工作機械、第3工作機械が持っている債務を、破産させることによってチャラにすることだと思います。いいところだけ残せば、瀋陽の工作機械という産業を守ることができますから。
A 債権者は追いかけていかないわけですか。
吉田 債権者も国有銀行が主力です。(笑)追いかけられたりということはあるようです。ただ、基本的につぶしてしまう。つぶすことによって債権をチャラにするということです。
これは、先ほど申し上げませんでしたが、この瀋陽工作機械というのは、市が管轄している国有企業です。つぶしてしまうと国有銀行が負債を背負い込むことになります。破産させないで、赤字操業すると、市政府が赤字の補填をしなければなりません。そのため、この企業を破産させるかどうかで、地方レベルでは地方政府と国有銀行の支店の間でネゴをするわけです。そこで意見が対立することがあると聞いています。
先ほどの統計で出てきましたように、遼寧省の企業破産が異常に高いという理由の背景として、なるべく早いうちにつぶしてしまって負債をチャラにして、新しく工場を建て直したいという意向があったのかもしれません。黒龍江省は、さらに遼寧省に先駆けてそういう方法をとっていた。でも、それが逆に労働者のデモにつながって、それを抑え込み切れなくなってきたので、国有企業の破産を一時停止させるという状況が、もしかするとあったのかもしれません。以上です。
B 現地政府の希望である国有企業の技術改造が、今、難しい状況だとおっしゃいましたけれども、この部分についてもう少し具体的に教えていただきたいと思います。また、技術改造という面については、JETROの日系企業の部品展示会で、ここ数年、