3. 質疑応答
司会者 ご清聴、ありがとうございました。今の吉田研究員の報告に、何かご質問はありますか。予定としては3時までですけれども、多少、オーバーしてもかまいません。何かご質問はありますか。
A 中国の国有企業が破産したというのは、どういう状態になっているのですか。
吉田 これは、ほんとうにとてもいい質問ですね。(笑)実は、私自身もよくわかりません。日本だと、企業が破産してしまえば存在しなくなる。例えば、ある例ですが、第1工作機械、第2工作機械、第3工作機械という企業がありました。初めの段階で、この工作機械のそれぞれのいい部分だけを取って瀋陽工作機械がつくられました。これが、さらに株式会社化していく中で、ほかの優良企業を合併していってコングロマリット……、企業集団になっていきます。この中で第三工作機械が一番初めに倒産しました。倒産したのですから、この吸収された部分を除いて存在しなくなるはずなのです。ただ、1年たっても第3机床という看板は残っていました。再建されたという話も聞いていません。
まず、残ってしまう理由ですが、古い技術しか持っていない人、もしくは技術が全然ない人、それから退職した労働者、企業が所有していた病院とか床屋さんとか劇場とか、その他のサービス産業の部分、これは、当然、瀋陽工作機械には引き継がれません。さらに一番問題になるのが、退職した労働者です。退職した労働者には年金を出さなきゃいけません。市政府レベルでの年金の制度は、現在、整備されている最中です。まだ完全に、すべての市民をカバーしていません。ですから、企業が完全につぶれてしまうと、一時期の間かもしれませんが、ここにいた退職者に対して年金が一切出なくなります。そんなこともあって、何らかの形で残しているのではないかと思います。ただし具体的な存在形態が、どんな形で、どんな目的で残っているのかわかりません。
A 賃金はもらえるのですか。
吉田 第三工作機械の退職者について言えば、年金が出ないということで、大きなデモがありました。従って、本来は何らかのお金が支給されていたと思われます。このデモについてだけ、なぜデモ隊が解散したのか、理由がわかっています。すべての退職した労働者に対して、一律で90元の年金を払ったようです。
A その後は、原材料をおさめる人がいなくなるわけですか。