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なかなか第3次産業……、商業・サービス業などに移りたがらないのですね。国有企業が破産して外に放り出されたにもかかわらず、再度、就職するときには、また親方日の丸の国有企業に入りたいと思う人が非常に多いのだそうです。当然、国有企業の募集広告は非常に少ないですから、そうするとなかなか就職口がないということになります。私がヒヤリングした吉林省の社会科学院の皆さんは、頭がかたいと言って怒っていました。

ではレジュメの31頁、「2-(2)-4)遼寧省の実績」にもどってください。今お話したような制度ですが、遼寧省は14市のうち、2市を除く12市で、このような制度が既に確立されています。ですから、3年間で80%以上の都市でこのような制度が確立されたと言えます。これは、非常に急速な整備だと思います。

1997年現在で、全省での職業紹介所……、最後に説明しました小さな職業紹介所も入れてですが、1,329か所あり、登録人数が92.3万人・回です。それに対して、再就職できた者は39.3万人・回になります。つまり、50%以上が積み残しになっています。これ以外に、例えば社会科学院の研究者にお話を聞くと、1997年6月現在で、遼寧省では、さらに110万人の失業者及び一時帰休者が存在しています。これは全職員労働者の11%に達します。非常に厳しい状況にあると言っていました。

次に、31頁、「2-(3)最低生活保障制度」についてお話したいと思います。これまで中国では、最低生活保障などは、国有企業が企業単位で行っていたのですが、最近ではそれが変化してきています。特に失業保険など社会保険制度でカバーできない特別貧困家庭、生活困窮労働者などの救済に対しては、特に地方政府の民政局を中心にして工会・財政局・労働局・統計局・社会保険公司などをメンバーとする最低保障制度工作指導グループができております。ここが目標の設定をしたり、お金を出したり、調査研究を行っておりまして、このような制度が、遼寧省の場合、全14市のうち13市で確立されております。たしか、最低保障制度が確立され始めたのが95年ごろだったと思いますので、96、97の2年間で、ほとんど全省に行きわたるような制度をつくり上げたということになります。これも、非常に急速に整備されていると言えます。

この中で特にユニークな事例を1つだけ説明したいと思います。レジュメの32頁、一番最後になります。「2-(3)-3)職員労働者の困難解決事務室」です。まず名前がユ

 

 

 

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