ると、人々がうわーっと寄ってきます。おまえ、おれが要らないかというような形になるわけですね。非常に原始的ですが、合理的につくられています。
ただ、ここは私自身は中に入ったことがありません。というのは、雰囲気が場外馬券売り場と非常によく似ています。何と言いましょうか、ちょっと危ない感じがするところなのです。私みたいに普通のサラリーマンの格好で中に入ると、必ず人が寄ってきます。社長だと思われるわけですね。(笑)いや、そうじゃなくて私は写真を撮りに来たんだと言って、そこで写真を撮ったりすると、二、三発殴られても仕方ないなという状況なのですね。そのくらい殺気立ってます。
39頁の7]〜9]の写真が、一番の末端にある職業紹介所です。街道委員会とか居民委員会がつくっている職業紹介所ですね。領事館の近くにある職業紹介所です。外の黒板に不動産情報とか雇用情報が書いてあり、ここで見て、いいなと思う仕事がある人は、中に入って、「この仕事はまだあるか」と中にいるお姉さんに聞くシステムになっています。
具体的に、この黒板にどんなことか書いてあるのかですが、8]の写真の一番左側の3枚が部屋の情報、次いで真中の2枚が職業紹介所の説明、右側の2枚が労働者の募集広告となっています。9]はこの右端の部分を拡大したものです。例えば一番上の三角印の所に書いてあるのは、コンピュータのタイピストですね。女性、高卒で経験があってさらに18歳から25歳まで。勤務時間は8時から夕方5時まで。休みは週1回。昼飯あり。それで月300元と書いてあります。
ただ、この再就職プログラムですが、例えば遼寧省の場合、先ほど申し上げましたように、末端まで入れると1,300か所以上あるわけですが、それでもまだ再就職上多くの問題がございます。問題は大きくわけて3つあります。まず1つは、労働市場の需給の問題ですね。要するに、雇用される労働者よりも吐き出される労働者のほうがはるかに多い。積み残しは大体50%ぐらいになります。2つ目は、制度的な問題です。このようなきっちりした制度をつくっていきますとお金がたくさん必要です。ただ、そのお金の拠出は、政府の各部門や企業からもらうようになっていますが、実際にはなかなか払い込まれません。活動資金が足りなくなっていると言われています。3つ目は、これが非常に大きな問題なのですが、労働者自身の観念の問題です。これは、特に東北3省の特徴的な例になるのかもしれませんが、国有大企業で工業企業にいたような労働者は、