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ただ、この中をさらによく見ていくと、今申し上げましたように遼寧省は8.1%、吉林省は5.9%ですが、黒龍江省だけ14.7%と非常に高い数字になっています。黒龍江省の高さには、理由が1つあります。黒龍江省だけ「三三制」という特別な政策をとっています。これはどんな政策なのかといいますと、不況企業の労働者を3分割します。3分の1はこれまでの本業、3分の1が多角経営、残りの3分の1を荒れ地の開墾に向けるのです。この荒れ地の開墾は、ほかの2省は地理的な問題からできません。黒龍江省は、まだ肥沃な農地がたくさん残っていますから、そういうところを使ってやっていくと。ですから、黒龍江省の数字が高くなってます。

では、31頁にお戻りください。「再就業工程」……、日本語に訳しますと再就職プロジェクトになりますが、この活動は、大きく分けて5つの内容からなっています。まず第1に、再就職者を雇用した企業に対して、税金の減免措置や銀行借款による優遇政策をとっております。それから第2に、職業紹介所の開設をしています。そして第3として、再就職者のための職業訓練を実施しています。第4として、再就職希望者のうち自分で新しく企業を興したい人、もしくは小さな屋台などを経営したい人に対しては、創業資金を無利子で貸し付けています。そして第5に、生活が貧困な労働者の家庭に対しては、救済金の支給を行っています。これが主な活動内容です。

この組織は、一般的には市政府内に、市長を組長として市の共産党委員会、それから工会・商工部・財政部・労働部・公安部などをメンバーとする就業工作領導小組……、要するに指導グループを設立しています。ここで主な政策を決定しています。このような小組は、実は市もしくは省だけではなくて、その下部の行政単位の区とか県にもすべて設置されています。一番下の単位は街道委員会、居民委員会……、つまり行政組織上一番下にくる基礎組織になりますが、そこまで設置されています。これが命令系列で縦列、それから横列につながって、相互に協調できる体制で活動を行っています。

それでは、ちょっと写真をご説明したいと思います。前のスクリーンでうまくご覧になれない方は、レジュメの38頁をご覧ください。同じ写真があります。38頁の右側の1]、これが瀋陽市の活動拠点になっております瀋陽市再就職センターです。市の中心的なセンターになっています。1]の写真、これが入口ですね。左側に看板が出ています。後ろの建物すべてが再就職センターです。

 

 

 

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