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マンの30%近くが、何らかの問題があるという状況です。そのため、労働力の生活環境は極めて厳しく、結果として労働力の流動化率が非常に高くなってきています。

表4の左側上から3番目の「3、都市職員労働者数」をご覧ください。実数の横に、都市職員労働者数の増減が書いてあります。全国が-0.5%であるのに対して、遼寧省は-2.9%、吉林省が-1.8%、黒龍江省が-1.4%となっております。つまり、東北3省の都市部のサラリーマンの減少率は、全国平均の3倍から6倍に達しています。非常に高い流動化率となっています。

では、31頁のレジュメ本文、「2-(2)再就業工程(再就職プロジェクト)」をご覧ください。地方政府の失業・最低生活保障対策について説明したいと思います。今、お話ししましたように、遼寧省・吉林省・黒龍江省の労働環境は、非常に厳しい状況にあります。このような状況に対して、東北3省の各地方政府が、失業者の増大や企業内余剰労働力の解雇に対してどのように対応しているのかを、「再就職プロジェクト」と、「職員労働者の解決困難弁公室」という最低生活保障制度を例に説明したいと思います。

この再就職プロジェクトですが、遼寧省では94年から実施されています。後で写真をごらんに入れますが、1997年現在、遼寧省では1,329か所の職業紹介所が設立されています。また、吉林省、黒龍江省も、ともに1,000か所以上の職業紹介所を設立しています。職業紹介所で仕事が得られない、さらに失業保険などで生活がカバーできない人たちに対しては、最低生活保障制度を充実させ始めています。これを、遼寧省では「職員労働者の困難解決事務室」と呼んでいます。これがかなりの成果を上げています。例えば、具体例を挙げますと、1997年の東北3省の再就職者数をもう一度ご覧ください。37頁の表4の左側上から5番目、再就職者数の項目をご覧ください。これは、1年間に何人が再就職できたかという数字です。全国が480万人であるのに対して、遼寧省が39万人、これが対全国比で8.1%。吉林省が28万人、これが対全国比で5.9%。黒龍江省が71万人、これが対全国比で14.7%となります。つまり、東北3省だけで、再就職した人のシェアが全国の28.8%に達します。東北3省は、実は人口、それから国内総生産(GDP)、ともに中国では1割の規模です。両方ともほぼ10%です。ですから、再就職者数が28.8%というのは、経済規模から考えて非常に多い数字、3倍ぐらいの数字になります。

 

 

 

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