まず初めに、企業破産に積極的な地域から申し上げたいと思います。説明は30頁の「1-(3)-2)企業破産に積極的な地域」です。まず目につくのが、環渤海地域です。これは、遼寧省・河北省・山東省・北京市・天津市の3省2市です。2,963件で、全体の34.4%です。それから、東北地域。これは、先ほど申し上げました、黒龍江省・吉林省・遼寧省の3省です。2,279件で、全体の26.4%。この環渤海地域と東北地域は、遼寧省が重複していますので、これを除いて両方を足しますと、4,596件で53.3%になります。つまり企業破産の過半数が、環渤海地域と東北地域で起きています。さらに、それ以外に中部地域、黒龍江省・吉林省・内蒙古自治区・山西省・河南省・安徽省・湖北省・湖南省・江西省の9省、これは母数も多いのですが、4,040件で、全体の46.9%と非常に集中しています。
一般的に中国は、沿岸地域、中部地域、西部地域のように3つのブロックに縦割りに考えます。すると、中部地域と山東省以北の沿海地域に企業破産が集中しているということになります。
では、企業破産に消極的な地域を考えたいと思います。説明は、30頁の「1-(3)-3)企業破産に消極的な地域」となります。これも地域の性格別に分けてみますと、存在します。まず第一に直轄市。北京市・天津市・上海市です。全部足しても、203件で全体の2.4%にすぎません。それから、次に少数民族自治区。内蒙古自治区・新疆ウイグル自治区・広西チワン族自治区・寧夏回族自治区・チベット自治区の5自治区になります。これを全部足しても、381件で4.4%にしかなりません。しかし、少数民族自治区については内蒙古が、直轄市については、上海市の傾向がちょっと異なります。ただ、やはり全体として、直轄市と少数民族地域では、企業破産が少なくなっています。
理由を私なりに推測しますと、一度、政情不安が発生すると収拾がつかなくなる地域、もしくは内外に対して影響が非常に強い地域では、政策的に企業破産が抑制されているのではないかと考えています。
では次に、東北3省がどのような状況にあるのか申し上げます。表2「省別企業破産数」のほうに戻ってください。説明は、30頁の「1-(3)-4)東北3省の状況」になります。総数でみると、黒龍江省が1,145件、遼寧省が646件、吉林省が488件。順位でみると、黒龍江省が第2位、遼寧省が第5位、吉林省が第7位で、3省ともに非常に企業破産が高い地域となっています。