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この限定的に使用されていた企業破産が、転換期を迎えるのは1992年です。この年、7月に「全人民所有制工業企業経営メカニズム転換条例」というものが公布されまして、これによって企業の法人化と損益自己責任ということが強調されるようになります。これに従って92年に企業破産が急増しまして、428件、対前年比で265%増となります。さらにそれ以降、高水準で企業破産が進むことになります。特に「中華人民共和国公司法」、つまり中国での会社法が発布される94年には、1,625件、対前年比で128%と急増します。さらに96年には、この1年間だけで6,232件、つまりこの8年間の総件数の53%に匹敵する企業破産が起きています。

この急増の主な要因としては、「資本構成適正化モデル都市」という政策があげられます。この政策で指定されたモデル都市で、優先的に企業破産の実験を行っております。企業を破産させるために、優先的に引当金が使われているのです。このモデル都市の指定は95年から始まるのですが、95年が18件だったものが、96年に突然50件になります。そして97年には、この指定都市は110件になっています。ですから、企業破産もさらに拡大している可能性があります。

では、これを省別に見るとどうなるのかという話をしたいと思います。その次のページをご覧ください。35頁の「表2 省別企業破産数(95〜96年)」です。実際、新聞に出たのはこの合計数字だけです。それに順位とか増加率をつけ加えてみました。この表からいくつかわかることがあります。まず、順位別にみると、第1位が山東省で1,210件、それから第2位が黒龍江省で1,145件、第3位が河北省で1,024件、第4位が湖南省で832件、第5位が遼寧省で646件。上位の5位までで、全体の56.3%を占めます。要するに、特定の地域に集中して企業破産が発生しているということです。ちなみに、上位1位から10位までの省を、中国の地図上におとしてみると、33頁の「図1、企業破産上位10省(1995〜96年)」となります。企業破産が特定地域に集中していることが、一目瞭然となっています。

さらに、これをブロック別に分けたものが、36頁の表3になります。「表3、地域別企業破産数(95〜96年)」をご覧ください。私なりにいくつかのブロックに分けて考えてみました。そうしますと、企業破産に積極的な地域と企業破産に消極的な地域、もしくは消極的な省というものが見えてきます。

 

 

 

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