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それでは、29頁の「1、企業破産の動向」の「(1)「国有企業改革の政策分類」をご覧ください。実は、国有企業改革は、多くの方に国有企業に対する改革だと思われていますが、現在は、さらに大きな展開をしています。国有企業改革は、政策として大きく分けて、2つのグループに分けることができます。1つは企業自身に対する改革、もう1つは、企業自身に対する改革を促進するために、社会における制度や環境を整備していくための改革です。

具体的な内容を説明しますと、まず企業自身の改革として、「現代企業制度改革」がございます。その一部として、「株式制度の導入」があります。さらに「企業集団の形成」、それから「中小企業改革」が実施されています。この4つが、中国の新聞によく出てきます国有企業自身に対する改革です。さらに、この国有企業改革を促進するための補完的な政策としまして、「資本構成適正化モデル都市での限定した企業の整理や破産の実験」、それから「国有資産管理制度の改革」、「再就職プロジェクト」、「社会保険および最低生活保障制度の改革」があります。つまり、この後の部分も入れると、都市全体に対する改革になってきていると言えます。

御存じのように、今、中国では3つの改革が行われています。行政改革、金融改革、国有企業改革です。この中で、地域的にかなり格差があると思われるものが国有企業改革です。では、その中で地域格差がどうなっているのかを考えてみたいと思います。「表1、破産立案件数(89〜96年)」(34頁)をご覧ください。説明は、29頁の「1-(2)企業破産の全国的動向」になります。実は、1997年1月28日に『経済参考報』が、突然、企業破産に関する89年以降の動向と、省別企業破産数の具体的な数字を発表しました。こういう報道は非常に珍しいのですが。その報道に基づいて、これから説明したいと思います。

表1をご覧下さい。1989年から96年までの企業破産の総件数は1万1,627件です。ただ、これを見るとかなり偏りがあります。「中華人民共和国企業破産法(試行)」、つまり中国での企業破産法は、1986年に全人代を通過しまして、1988年から試行されています。ですから、この数字は89年からになっています。ただ89、それから90、91年までは、かなり限定的に使われています。89年が98件、90年が32件、91年が117件であったことで、おわかりいただけると思います。

 

 

 

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