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また、連邦レベルではEPA(U.S.Environmental Protection Agency)は、カリフォルニア州ロサンゼルス地区等のみに適用される特別な規制案(FIPs:Federal Implementation Plans)について1995年から審議検討を行ってきた。同規制案はNRPM(Notice of Proposed Rulemaking)と呼ばれる周知文章としてFederal Register(日本でいう官報)に掲載された正式な政府法案である。同NRPM内では1994年7月の公聴会および意見書の受付等を経て、最終FIPsを作成・発効するかどうかの決定、もしくは再検討、廃案にするかの決定を、1995年1月までにCARBが行うことになっていた。

しかし、公聴会等では、港湾労働者、港湾関連機関、Coast Guard、運航業者のいずれからも反対意見が出された。ある特定地区に対して規制を行った場合には、コンテナ船等の貨物船は荷役港を変更することで規制を回避しうる。この場合、地区内の港湾が衰退するだけでなく、トレーラー等によるコンテナの移入が増えて、全体として排出量の削減につながらないことが、指摘された。その後いくつかの港では、代替案として、港湾内の荷役の効率化及び新型荷役機械の導入により、主にコンテナ埠頭からの排出量を削減すること、大型コンテナ埠頭への連絡道路を都市部から離して付け替えること、大気の汚染状態によっては航路を陸側から海側へ自主的に取ること、等を、低減対策の代案として提出した。特に港湾施設の改良については、大型荷役機械のディーゼル機関からガソリン機関への切り替えが盛り込まれたようである。

最終的に、CARBはこれら代替案及び他の固定発生源及び移動発生源対策により、削減目標が達成されるとしてFIPsから船舶に関する項目を削除することを、1996年3月に正式決定した。

FIPsに記載されていた船舶に関係する規制の内容は、対象海域内で船舶から大気中に放出されるNOxに対して$10,000/USton-NOxの課金を徴収するものであった(表4.1-4参照)。これは他の排出源に対して提案されている課金と同様と説明されていた。

廃案になったこの規制では10,000kW程度の主機関を搭載した船舶の場合には約$16,000の課金を毎寄港ごとに支払うことになっていた。ただし、その課金は2段階に分けて免除されていた。なお、表中のカテゴリーのうち、30%の削減率はIMOで審議中の削減率をそのまま用いているため、IMOの一次規制に合致するものは無条件で50%減のカテゴリーに入ることになる。

 

 

 

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