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表4.1-3 SCR搭載船の概要

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●SCR 装置は適正動作温度が300 〜400 ℃であることから、排気ガスは機関→静圧管→SCR 反応器→過給機と流れるようになる。2 サイクル機関はもともと排気温度がボイラーや4 サイクル機関に比較して低いため排気、過給気系の外に設置できない。さらに、運転時にはSCR 反応器までの排気管は加熱されている。

●外洋航走ではSCR を用いないため、機関→静圧管→過給機へ配管の切り替えを行っている。

●過給機のマッチングは、SCR 内部及び導管の圧力損失を考慮したものとなっている。

●SCR 用アンモニアには液状アンモニアを使用し、加熱装置付きエバポレータでガス化している。アンモニアタンクは安全性を考慮して上甲板の集合煙突部に設けられている。

●アンモニア供給量は、NOx 削減率の保持とアンモニアスリップが多くならないように、負荷とNOx の排出濃度レベルの関係をプログラムされたコンピュータにより、過給機出口のNOx レベルを常時観測の上、最適化するようコントロールされている。設計では、供給量は6 〜7g/BHPh、残留アンモニア濃度は最大で10ppm 程度とされている。

●触媒の外寸はφ2.5m×7.6mであり、メーカーはHaidor Topsoe A/S Denmarkである。SV値は不明。馬力当りの容量は約2.5m3/1,000 BHP。

イ.EPAによる船舶規制案(FIPs)

カリフォルニア州はその主な大都市圏全てにおいてO3(オゾン)の連邦環境基準値を超過している。それに加え同州ロサンゼルス郡はNO2の連邦環境基準値を超過している米国内で唯一の地域でもある。EPAは同地区を米国内で唯一のO3極度」汚染地域(extreme area)として指定しており、行政当局は、何度か同地区に対して船舶排ガス規制の導入を試みてきた。例えば、カルフォルニア州レベルにおいては1988 年大気浄化法(California Clean Air Act;CCAA)を立法化を受け、同州の大気資源局(California Air Resources Board ; CARB)が、1991年10月カルフォルニア州の船舶排出規制案として規制構想を公表している。実際の策定は有名な環境保護団体であるシエラクラブが行っている。これは当時として大変厳しい規制案であり、外航船に対してSCRの使用を前提にNOx濃度を130ppm まで削減することを求めるものであったが、現在は廃案となっている。

 

 

 

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