プロジェクト名 海洋資源総合基盤技術(マンガン団塊採鉱システム) 通商産業省
研究期間 昭和56〜平成9年度
予算 14,423,088千円
研究体制
(1) トータルシステムの研究開発
(資源環境技術総合研究所、技術研究組合海底鉱物資源開発システム研究所)
(2) サブシステムの研究開発(技術研究組合海底鉱物資源開発システム研究所)
研究概要
水深4000〜6000mの深海底に賦存するマンガン団塊を商業的規模で採鉱するために、効率的、経済的かつ安全に採取する採鉱技術の確立を目的として、各サブシステムにより開発が行われた。プロジェクトは、研究団塊に応じて3つのステージに分けられる。第1ステージにおいては、トータルシステム及び各サブシステム(集鉱システム、揚鉱システム、ハンドリングシステム、計測制御システム)において、海洋総合実験を行う際に必要な採鉱実験システムの構成について基本的な機能、性能の検討が行われ、要素技術の開発並びに基本設計のとりまとめが行われた。第2ステージでは、次のステージヘの準備段階として、策定した基本設計に基づき海洋実験機器の設計、製作等が進められるとともに、国連海洋法条約の動向、非鉄金属市況の動向などに的確に対応すべく海洋実験計画の抜本的見直しが行われ、具体的実験方案が策定された。また、商業採鉱システムについては、概念設計を行い、経済性の試算を重ねられた。第3ステージでは、マンガン団塊の商業生産開始時期が当初見通しよりもずれ込むとの観測等から、将来の技術的進展に対応できるフレキシビリティを確保するために必要な特定要素技術の技術実証を行うことが妥当との結論に至った。そこで海洋総合実験に代えて、これまでの開発技術、開発機器の検証・確認のため、海洋において4つの要素実験(曳航機実験、パイプハンドリング実験、フレキシブルホース曲げ特性実験、ガスリフト実験)が行われた。
研究成果
(1) トータルシステム(実験計画)
実験計画の策定に必要な商業採鉱システムの基本構想及び経済性の検討が行われた。また、海洋総合実験の規模について、商業生産規模の推定と、商業生産規模の設計データを精度良く推定するための実験規模の推定方法について検討された。
(2) トータルシステム(実験システム)
海洋実験のための実験船について詳細設計並びに艤装品の設計が行われた。また、水中ケーブルの格納・移送装置が製作された。さらに、2回の曳航実験により、それぞれ2.55トン、4.37トンのマンガン団塊の回収に成功した。
(3) 集鉱システム
構造体(集鉱機フレーム部分)及びそれに付属する安定翼、海底滑走用スキー等が製作された。また集鉱機への艤装として、海底泥・マンガンノジュール分離装置、マンガンノジュールクラッシャー、各種モータ及び油圧機器とその耐圧容器が製作された。
(4) 揚鉱システム(ポンプリフト装置)
上昇流の発生に必要な水中モータ、水中ポンプが各2台製作された。また、それらに必要な電装品について、設計、製作が行われた。
(5) 揚鉱システム(エアリフト装置)
低・中・高圧段の空気圧縮装置並びに空気輸送ホース・ウインチ及び空気吹き込み弁が製作された。また、製作した実験機器を使用して、海洋総合実験を模擬した条件により陸上実験が実施され、将来の商業採鉱システム計画、設計に適用可能な成果が確認された。
(6) 揚鉱システム(揚鉱管装置)
揚鉱管について、製作装置や周辺装置(緩み止め装置、カルマン渦振動対策装置等)を含めた設計、製作が行われた。