バイオテクノロジー分野ではヒトゲノムやイネゲノム研究の進展に伴い、新薬や機能性食品の開発、動物向上・植物向上等への取り組みが積極的に進められている。また、生物農薬や生分解性プラスチックや環境保全のためのエコロジカル・エンジニアリングの重要性も高まりつつある。この分野は遺伝子技術の発展とハイテクの応用により飛躍的な発展を遂げつつあり、以下の分野における研究開発が注目を浴びている。
1) ガン研究
2) 高速ゲノム解析技術とゲノム情報の応用
3) 発生・分化および形態形成の分子機構
4) 脳の機能
5) 植物機能の解明とその利用
6) 構造生物学
7) 物質変換・エネルギー変換(地球環境問題解決のための生物の物質変換・エネルギー変換機能の利用)
8) 免疫系(免疫系疾患、アレルギー性疾患の分子機構の解明と修復法)
9) 医用工学(人工臓器、医用マイクロマシン、バーチャルリアリティーの医用応用、(高精度)生体機能計測装置)
10) センサ・コンピュータ関連技術(センサ・バイオコンピュータ用生体材料、ナノ素子)
今後特に海洋分野への展開が期待される技術の事例を以下に示した。
a. 遺伝子情報の解析技術利用
ヒトゲノムやイネゲノム研究の進展と呼応して、新薬や機能性食品の開発、動物工場、植物工場への取り組みが活発に行われている。一方、海洋には非常に数多くの未知の機能をもった生物が存在している。これらの解析技術を多様な海洋生物に適用すれば、食品(高性能タンパク等)、医薬品への応用、遺伝子診断、遺伝子治療といった分野の発展が期待できる。
b. 物質・エネルギー変換技術(生体利用、生体模倣)
人類は生物のもつ物質変換・エネルギー変換能を巧みに利用している。微生物の物質変換・エネルギー変換能を利用した発酵工業、あるいは植物を利用した油脂工業、農業等の例がそれである。近年地球環境の諸問題の解決に生物の物質変換機能を利用する試みが注目を浴びている。例えば再生可能なバイオマス資源を原料とするバイオマス燃料、バイオプラスチック生産、微細盛る伊藤を利用した生物化学的炭酸ガス固定化などがされには、生物の炭素固定、窒素固定等を模倣するバイオミメティックな研究がある。今後、多様性に富む海洋生物の機能を研究し、物質変換・エネルギー変換を利用、模倣した応用が期待できる。