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また、資源の分野では環境問題と関連して、有価成分の回収、探索技術の発展、省力化、無人化の研究が行われている。この分野の研究開発はおもに以下の観点で行われている。

1) 観測・予測・モニタリング技術

2) 環境の保全・創造

3) 資源・エネルギー・の有効利用

4) 資源開発

 

これらに関連した今後海洋分野への展開が期待される技術の例を以下に示した。

 

a. 有害物質の地球的規模での正確な予測と生態系への影響解明

CO2、酸性雨(NOx, SOx)、微量有害化学物質(重金属、環境ホルモンなど)などの地球的規模での正確な予測と生態系への影響解明は環境保全分野では今後ますます重要度が高まるテーマであり、海洋環境保全の観点からも極めて重要な技術開発課題である。

 

b. NOx, SOx等の排出低減技術(燃焼改善、触媒による後処理)

NOx, SOx等の有害物質の排出低減技術としては大別すると燃料あるいは燃焼器の効率改善により有害物質を出さないようにする技術と触媒による後処理技術が検討されている。特に地上では発電所、工場等ではアンモニア選択還元法が、自動車では三元触媒法が実用化されており、海洋分野では船舶への応用展開が期待されている。

 

c. 二酸化炭素(CO2)排出削減技術

CO2排出削減技術には排ガス中のCO2を対象とした分離技術(吸着、膜分離、など)と固定化技術(海洋処分など)に加えて、大気中のCO2を対象とした固定化技術(微細藻類、珊瑚、植林による固定、など)、あるいは高効率燃焼技術(エンジン等の燃焼技術改善)などが研究されている。いずれも海洋と関連する技術であるが、特に微細藻類による固定および海洋処分技術は海洋環境への評価の観点からも重要な開発課題である。

 

d. 燃料電池(新動力源)

燃料電池は、天然ガスやメタノールなどの石油に代替するエネルギーを用いて化学反応を利用し発電を行う技術である。通常のガス、石油などの燃料を燃焼して発電するシステムと比較して、NOx、SOxの排出がほとんどなく、また騒音振動などの問題がないため、非常にクリーンで、CO2の排出量も低減できる。発電用ディーゼル代替として船舶へ適用されれば、特に港湾付近の環境保全効果が期待できる。

 

 

 

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