近年の分子設計技術の進歩にともない、高度な分子認識システムの構築が可能となっている。海洋では、種々のセンシング技術、分離精製技術、高選択的触媒反応による人工酵素など考えられる応用分野は広い。
m. 光触媒材料
最近、二酸化チタンに代表される光触媒は、太陽光を吸収して種々の有機物を分解除去する機能を持っため、抗菌、防汚分野で実用化されている。海洋へ流出した油の分解、微量有害物質の分解等への応用が期待できる。また、後述のように、長期的には新エネルギー製造の観点からも期待が大きい。
2] 「エレクトロニクス」分野
マイクロエレクトロニクスを中心とするエレクトロニクスデバイスはますます微小化に向かっており、究極的には分子、原子、細胞を監査・捜査する技術を基に、これらの技術を駆使してメゾスコピックな現象をエレクトロニクスに取り込んで行く方向にある。
一方、オプトエレクトロニクスの領域の研究は1960年代のレーザーの登場に始まったが、光ファイバ通信網の発達により通信の高速化、大容量化につながっている。また、1996年頃からは光技術のコンピュータへの浸透が始まっている。光メモリーの領域ではCD、DVDの開発がされている。今後さらに大容量化がすすむ方向にある。
また、分子デバイスに関しては現状の無機材料を機能的に置き換え、分子の柔軟性、大型化への適応性を生かすという動きと、単一分子機能に注目し超高性能デバイスを実現するという2つの流れがある。バイオエレクトロニクス分野では、分子デバイス、バイオデバイス、あるいはバイオコンピュータなどが注目されている。また、センシング技術は、各種産業、基礎科学、防災、環境等、極めて多くの技術領域において重要である。
エレクトロニクス分野の主な技術開発動向のうち最近特に注目を浴びているのが以下の4点である。
1) 高集積化・大容量化のための微細加工技術
2) 低消費電力化技術
3) 高速化、超並列化、高感度化技術
4) 光によるセンシング・制御、光プロセス・光加工技術
これらの中から今後海洋分野への展開が期待される技術の例を以下に示した。