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a. 形状記憶合金

ニッケルとチタンを1対1の割合で混ぜたもので、ある形状にして熱処理することで形状を覚え込みいったん変形しても一定温度に加熱すると元の形状に戻るという特性がある。現在、パイプの継ぎ手の加工技術あるいは自動開閉式の水栓等への応用がされており、船舶の種々の配管、部品等への応用が期待できる。

 

b. 超電導材料

一定の温度以下で物質の電気抵抗がゼロになる超電導は、エネルギー分野、輸送分野への応用が期待できる。これまでに電磁石を利用して走る超電導電磁推進船への応用が検討されている。また、ジョセフソン素子のように超電導を利用したコンピュータ用の演算素子や記憶素子は電流の大きさによって電気抵抗がゼロの状態と電気抵抗のある状態をつくることができ、高速のスイッチのオンオフが可能となる。海洋観測分野において種々の応用が期待できる。

 

c. 水素吸蔵合金

水素ガスを吸収放出し得る水素吸蔵合金は、水素の貯蔵、輸送手段に用いることが検討されている。液体水素のように超低温で保存する必要がなく、常温で保存可能でかつ爆発の危険がなく貯蔵できるため水素輸送のタンカーへの応用も期待できる。

 

d. インテリジェント材料

材料自らが検知するセンサー機能、判断、結論を出すプロセッサー機能、指令、行動を起こすアクチュエータ機能といった一連の機能を合せ持つインテリジェント材料が注目を浴びており航空機などへの金属疲労の検知への応用、あるいは翼部分へ形状記憶合金を編み込んで飛行状況に合わせて補助翼を制御することが検討されている。安全・快適な航海のための船舶技術としての利用が考えられる。

 

e. 機能傾斜材料(バイオミメティクス材料)

近年まで材料はなるべく均質であることが強度的、化学的機能面から好ましいとされてきたが、生体材料や構造をみると、材料の組成や組織が均質化していない傾斜機能材料(貝殻)、不均質化複合材料(竹、象牙など)、非対称積層材料(木、骨など)がみられる。このような環境に応じて構造体の分布を最適化していく複合材料構造体は軽量かつ大強度の船体材料への応用が期待できる。

 

f. 超薄膜

超薄膜は一つ一つの分子に高度な機能を持たせ、将来の究極な高集積化エレクトロニクス素子を実現するために生まれた技術であり、従来電気絶縁性であった材料も超薄膜化することでトンネル伝導を示すなど、さまざまな新機能の発現が期待できる。この超薄膜は高機能素子への応用が期待でき、海洋観測用の種々のセンサー技術への応用が期待できる。

 

 

 

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