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5] 運輸省

地球環境問題に関しては、「地球温暖化対策」、「海洋汚染対策」、「大気汚染」、「海洋環境マネジメント」と多岐にわたりプロジェクトが実施されている。一方で、特に海洋における「構造物」や「船舶」について、非常に数多くのプロジェクトが展開されている。

 

(2) 研究プロジェクトの方向性

マクロ的にみると、地球環境問題や資源、エネルギーに関連した分野では、基礎研究に重点が置かれており、応用研究の数が少なくなっている。この展開は21世紀のテーマの方向性を示唆している。基礎研究の中では、「遺伝子」等のマリンバイオテクノロジーや、「水中コミュニケーション」等の情報通信技術に関してはまだあまり手が付けられておらず、今後の展開が有望な分野であると期待される。

 

(3) 空間利用分野におけるプロジェクトの偏り

特に、空間利用分野については、プロジェクトの内容に非常に大きな偏りがみられる。具体的には、海洋構造物に対するプロジェクトと船舶に対するプロジェクトにほぼ限定されている。生活、リクレーション、産業といった、いわゆる海洋空間の利用という観点でのプロジェクトはほとんど実施されていない。また、空間利用分野では、環境分野と比較して予算規模の大きなプロジェクトが少ない。

 

(4) 船舶保有状況との相関性

各省庁における、船舶を直接必要とする「海洋科学」や「地球環境」関連のプロジェクト数と船舶保有数の間に相関はみられない。これについては、各省庁におけるプロジェクトの性格や船舶の運用方法に相当の違いがあるために、一概には判断できないが、各省庁が横断的により効率的な船舶の運用方法を生み出せれば、我が国の海洋関連プロジェクトの進展にも大きく寄与するものと考えられる。

 

(5) 地方公共団体の海洋への取り組み

地方公共団体と国では海洋への取り組み方が大きく異なっており、地方公共団体の「海洋」に対する利用価値は、主として観光や地域産業振興による地域の活性化にあると考えられる。

 

 

 

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