3.2.11 まとめ
「海洋」に関して、国および地方公共団体が実施しているプロジェクトをリストアップし、その動向について解析を行ってきた。それらを要約すると以下のようになる。
(1) 省庁による特性
各省庁の海洋への取り組み状況をみると、省庁ごとにテーマが区分けされる傾向にある。このため、分野横断的なテーマの実施が限定されている。海洋関連のプロジェクト数の多い省庁についてその特性をまとめると、以下のようになる。
1] 科学技術庁
科学技術および地球環境問題からの視点では、非常に多くのプロジェクトが実施されている。特に、地球環境問題に関しては、「監視-観測」および「モデリング・現象解明」について、多数の規模の大きなプロジェクトが実施されている。ただし、具体的な対策技術に関しては、まだあまり手が付けられていない。生活、産業、交通や資源については、平成8年度の段階では、あまり力点が置かれていない。
2] 環境庁
地球環境問題に関しては、「監視-観測」、「モデリング・現象解明」や「海洋汚染対策」と、広範囲にわたりプロジェクトが実施されている。プロジェクトの性格としては、応用的な技術開発より、むしろ基礎研究に重点が置かれている。なお、生活、産業、交通や資源については、平成8年度の段階では、あまり力点が置かれていない。
3] 農林水産省
「海洋生物」や「海洋汚染対策」、さらには「水産資源」と広範囲にわたりプロジェクトが実施されているが、基本的には大きなプロジェクトが少ない。プロジェクトの性格としては、応用的な技術開発より、むしろ基礎研究に重点が置かれている。
4] 通商産業省
地球環境問題に関しては、「地球温暖化対策」、「海洋汚染対策」、「海洋環境マネジメント」と多岐にわたりプロジェクトが実施されている。他の省庁ではほとんどみられない、「地球環境問題の対策」にまで踏み込んでいる点が特徴的である。また、「海洋科学」や「鉱物資源」にも力点が置かれており、応用研究にまで達しているプロジェクトもみられる。