(3) プロジェクト実施のポイント
上述の解析結果を踏まえると、プロジェクトの成否にはいくつかのポイントがあることが明らかである。そこで、有意な成果が得られたプロジェクト、および今後の改善の余地があるプロジェクトについて、以下のようにポイントを整理した。
1] 有意な成果が得られたプロジェクト
a. 予算規模が大きかった。
b. 情報公開により、徹底した討論を行った。
c. 研究テーマのポイントが絞られていた。
2] 今後の改善の余地があるプロジェクト
a. 予算規模が小さかった。
b. 多くの研究機関が関与した、中途半端な開発であった。
c. ニーズに適していなかった。
d. 現場知識のないプログラマーによる研究開発であった。
e. 研究期間と参画研究機関が不足していた。
f. 情報公開が不十分であった。
予算規模については小さければ充分な成果が出せないと言うわけではないが、内容に見合った規模が必要である。期間についても妥当な範囲の設定が必要であるが、極端に長い期間にわたるプロジェクトは少なからず問題点が露見している。研究体制については、横断的な取り組みが今後の展開に不可欠であるのは否めないが、参加研究機関が多すぎても逆にそれが問題となっている。しかしながら、最も重要なポイントとなるのはテーマ設定であり、いかにポイントが絞り込まれたテーマを選定できるかが、プロジェクト成否の鍵となると考えられる。