3] 世界海洋観測システム構築に資する革新的ブイシステムの基盤技術開発研究
地球環境問題解決に向けたグローバルな観測網の整備という意味で、テーマの設定は研究サイドのニーズに充分応えていると言える。第I期の研究期間は平成5年度から7年度までの3年間であるが、その期間の予算合計額を考慮するとかなり予算規模の小さなプロジェクトであった。その点では、予算に見合った目標がなされていたかについて疑問も残る。一方で、第II期は平成8年度から9年度かけて、予算規模もかなり拡大されて実施されている。研究体制については、科学技術庁が管轄省庁であるが、実際には海上保安庁、気象庁、水産庁なども参加しており、この点では横断的なプロジェクトであると考えられる。研究成果については、必ずしも充分であったとは言えない。
委員からは、予算規模が小さいのに多くの研究機関が関与し、中途半端な開発を行ったため、それぞれの成果が不十分なまま終わってしまっている印象が強い、実用化につなげるためには、実力のあるアイディアの良いところに集中投資すべきであった、とのコメントを得た。
4] 超大型浮体式海洋構造物(メガフロート)の研究開発(フェーズI)
海上基地への応用に有効である点などを考慮すると、テーマ設定において特に問題はない。研究期間は平成7年度から9年度にかけての3年間であった。研究体制については、省庁横断的というわけではないが、運輸省の管轄の下で、メガフロート技術研究組合が結成された。また、外部有識者を中心とする評価委員会で第三者的に評価が行われている。研究成果については、当初予定の範囲内では達成されたと考えられる。
委員からは以下のようなコメントを得た。重要事項として国庫補助金を投与して行われた大規模プロジェクトであり、本研究開発により、汎用型のメガフロートの設計・建造技術が確立された。メガフロートは、海洋開発審議会基本問題懇談会でも取り上げられているのが現状である。また、以下のようなコメントも得た。学会ともタイアップし、情報公開して、徹底した討論の上、プロジェクトが進められた。あらゆる技術課題が徹底して検討されたものである。
5] 海洋資源総合基盤技術(マンガン団塊採鉱システム)
深海底に存在するマンガン団塊を商業的規模で採鉱するための技術の確立を目的として行われたプロジェクトであるが、少資源国の我が国が取り組むべきテーマとして着眼点は申し分なかったと言える。研究期間は昭和56年度から平成9年度までの17年間に及んでおり、プロジェクトの運営が冗長になっていなかったについて疑問が残る。研究予算は総額で100億円を超えており、その点からみても大規模プロジェクトであるが、妥当な予算配分が行われていたかについては不明である。