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高畠町消防本部(山形)

 

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高畠町消防本部は山形県の南部に位置し、東に蔵王、南に吾妻、西に飯豊、北に朝日連峰という険しい山々に囲まれた置賜盆地の東南の町である。宮城・福島県に隣接し、東西南北に国道が走る交通の要衝で、肥沃な土地に恵まれ、四季折々の自然の恵みを受け、「まほろばの里」として古くから拓けている。また、遺跡が多く、洞窟・岩陰遺跡は国指定史跡に指定され、「県立うきたむ風土記の丘考古資料館」や「まほろばの里歴史公園」がある遺跡の町である。

日本三文殊の一つである亀岡文殊は、知恵の文殊として知られ、願望成就・合格祈願にと県内外から多くの人々が訪れている。

また、日本児童文学の先駆者である"浜田広介"の古里でもあり、「まほろばの里・浜田広介記念館」には、全国の子供たちが訪れている。さらに、新幹線が停車する駅舎には温泉付きの総合コミュニティ施設「太陽館」があり、全国でも珍しいとんがり屋根というメルヘンの世界となっている。

豊かな自然に恵まれて、米、ぶどう、ラ・フランス等の果樹の産地で、国道沿いには誘致された企業も多く、農・工・商一体となった「香り高き文化の町」をめざしている。

消防本部は昭和四二年四月に発足し、現在一本部・一署、三九人の職員と、九八二人の消防団員が、二万七千人の防災を担っている。昨年は消防本部発足三〇年記念に際し消防史を発刊し、防災意識の高揚を図り、真に町民に信頼される消防行政の確立をめざしている。

・ 平穏な日々!

消防本部発足時、一八人の職員でスタートし、消防吏員経験者が皆無という文字通り「ゼロ」からの出発の最中、同年八月には「羽越豪雨」により河川が氾濫し、災害救助法の適用を受けるほどの水害が発生し、翌年四月には一〇棟が焼失する大火が発生するなど、不穏な日々が続いたが、それ以来大きな災害もなく、平穏な日々が続いている。

・ 団員の確保は少子化対策から!

高齢化・少子化により、地域の安全を担う消防団員の確保が年々難しくなってきていることから、出生率の増加を図り、若い団員を確保しようと、消防本部・団本部共催により"ふるさと消防フェアーねるとんパーティー"を開催している。これは管内に居住する独身の男・女性を対象としたもので、平成四年から隔年ごとに行われ、既にカップルや子孫が誕生し、今後の高齢化・少子化対策への貢献が期待されている。

・ 執務外でも奉仕者!

署員一六人が老人福祉センターのディサービス員として登録し、平成五年から非番・週休日に管内の独り暮らし老人宅に、ヘルパーと協力しながら弁当を配付し、併せて消火器の取扱いや、火災予防の指導を行い、防災弱者の被害軽減活動を行っている。また、降雪時には自主的に除雪作業を行うなど、地域住民へのきめ細やかなボランティア活動を推進し、信頼と絆を深めている。

・ 信頼できる職員!

少数の職員で多種多様な消防行政に対処するため、全職員がオールマイティな執務執行ができるよう、職員の能力開発に努めている。消防大学校や消防学校等の各種研修出向はもとより、出向者による伝達講習や、課長補佐以上が講師となる一般教養を計画的に実施し、能力アップを図っている。

また、本部発足以来、一日も欠かしたことがない署訓の発声を、毎朝引継ぎ時に行い士気高揚に努め、更に、各自が一勤務一回、突発的な災害対応のイメージトレーニングを行い、有事に備えている。

最後に、渡部消防長は「全てに目的意識をもって行動して欲しい。また、オールマイティで信頼でき、他本部には負けない力を持った職員であると自負している。」と力説された。

(野崎 俊幸)

 

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