日本財団 図書館


○ 東北支部(盛岡地区広域行政事務組合消防本部)

平野 重樹 「命のシール」

○ 東海支部(名古屋市消防局)

角田 昌寛 「安心感を与えられる救急隊員を目指して」

○ 関東支部(長野市消防局)

藤倉 利江 「消防設備の意味」

○ 東近畿支部(東浅井郡消防本部)

赤井 真也 「心の目を開いて」

○ 四国支部(高松市消防局)

竹内 秀和 「救急救命士として目指すもの」

○ 近畿支部(大阪市消防局)

栗山 規晴 「女やったらあかんのかい!?」

○ 中国支部(備北地区消防広域行政組合消防本部)

山本 竜則 「だいちゃんとともに」

○ 北海道支部(函館市消防本部)

内山 貴之 「ともに生きる!!」

○ 九州支部(熊本市消防局)

畠中 美紀 「厳しい救急されど優しい救急」

 

審査員(順不同、敬省略)

稲垣 吉彦(文京大学情報学部広報学科教授)

猪口 邦子(上智大学法学部教授)

ダニエル カール(山形弁研究家)

高橋 彦博(札幌市消防局長)

近藤 力(岐阜市消防長)

中岡 隆志(広島市消防局長)

 

最優秀賞

藤倉 利江 関東支部代表

「消防設備の意味」

 

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「驚いたなぁー。煙の中って、何にも見えなくなるんだね。」

これは、いつもの消防訓練よりはるかに遅く避難してきた男性の言葉です。今までの訓練では、誘導灯を目印に避難していたようですが、今回は煙が濃かったようで全く見えなかったそうです。

「消防士さんは『避難するときは、姿勢を低くして!』と言うけど、出口にある誘導灯。あんなに高い位置にあるから見えなくなっちゃうよ。」

その男性は私をにらんで言いました。けれども、その時の私は、

「誘導灯の位置は法律で決まっているのだから…。」くらいにしか思えませんでした。

しかし、よくよく考えてみるとその男性の言うことには一理あります。確かに、煙が充満している中は、涙が出て目を開けているのは簡単ではありません。まして腰をかがめて避難すると、一・五メートル以上の高さにある避難口の誘導灯を見るのは至難の技でしょう。点滅式の誘導灯もありますが、下を向いて避難していたら、効果があるとは言い切れません。

「これでは誘導灯の意味がないのでは?」

消防設備の設置を指導している私は、あの男性から『本当の消防設備の意味とは何か』を考えさせられたのです。消防設備は、人の命を救い、火災による被害を最小限に食い止めるものです。しかし、その他にもう一つ、重要な事を意味していたのです。

それは、消防設備を通じて、防災に関心をもち『火災を予防しよう』という気持ちを持ってもらうことです。そのためには、設備を

 

 

 

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